ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』704話~707話
704話「未亡人は十八歳」6
著名な作曲家が自動車に撥ねられて死にます。偶然立ち寄った喫茶店でマスターから、被害者が若い男性と言い争っており、拳銃という言葉も聴こえた、という話を聞いたドックとマイコンは、事故ではなく事件ではないかと疑い、遺族に話を聞きに行きます。作曲家の妻は18歳でした。一係は捜査を進め、作曲家が過去に拳銃を密輸したかもしれない、という情報を得ます。さらに、未亡人には1億円の保険金が支払われることになっており、マイコンは保険金目当てで妻が夫を殺害したのではないか、と疑います。
18歳の未亡人に接近する若い女性の存在や、作曲家が殺された理由など、謎解き要素が強く、その点ではなかなか楽しめました。マイコンが一度は疑った未亡人を信じ、未亡人が夫を殺したわけではなかった、というオチはひねりに欠けた感もありますが、謎解き要素はまずまず面白かったので、悪くはなかったと思います。今回も、署長が一係で指示を出す場面が描かれましたが、さほど居丈高ではなく、嫌みを言うわけでもないので、なかなか好印象です。
本題からずれる話になってしまいますが、今回、トシさんが、昔(1986年視点での昔ということですが)は取り締まりが甘く、拳銃密輸は容易だった、と発言していました。とあるスポーツで偉そうな解説を繰り返している人や、実績だけではなく人格まで賞賛されているような故人が、拳銃密輸事件に関わった背景にはそんなことがあったのだな、と思った次第です。そうした人たちと比較して、そのスポーツにおける現在の第一人者が、「品格」で劣っているとはとても思えないのですが。
705話「一億五千万円」7
男性が1億5千万円を拾得し、6ヶ月間持ち主が現れなかったので、1億5千万円は男性が得ることになります。男性には詐欺の前科がありました。しかし、1億5千万円を銀行に輸送する途中、ブルースと男性は3人組に襲撃され、1億5千万円を奪われて負傷します。ドックは、事件は税金逃れのための男性による自作自演ではないか、と疑います。ドックだけではなく、男性の妻も夫を疑っていました。それでもブルースは、自分を庇ってくれた男性を信じようとします。いかにも胡散臭い男性は、けっきょく強奪事件の犯人ではなかったものの、そもそも1億5千万円を拾得したのではなく、盗んでいたのでした。なかなかひねった話になっており、まずまず楽しめました。
706話「ボス!任せてください」4
山さんが殉職した後もしばらくは代わりの刑事が登場せず、その間にボスが病気療養となり、レギュラー6人体制となって寂しさもあったのですが、今回、橘警部とDJが赴任してきます。橘警部は、ボスが復帰するまでの代役なのですが、やたらと堅苦しいい人だという印象が残っています。演じるのが渡哲也氏で、本作への出演は多くの視聴者にとって違和感があるのではないか、と考慮しての人物造形でもあるのでしょうか。「異物」であることを前面に出したのかな、と思います。DJの方は、軽い感じの破天荒な新人若手刑事という人物造形になっています。若手刑事の人物造形としては陳腐とも言えますが、これまでの新人若手刑事よりもさらにはみ出し者といった性格が強くなっており、この点は工夫されていると思います。ただ、視聴率の低迷している末期での新登場だったので、じっくりと成長を描くだけの期間がなかったのは残念でした。
話の方はほとんど忘れていましたが、犯人が冒頭でいつも注文していたメニューを訊かれて激怒した場面はよく覚えていました。話の方は、全体的に個人的にはあまり響かないというか、新鮮さを感じませんでした。まあ、今回は何よりも、オープニング曲が大きく変わったことが本当に衝撃的で、ボスがオープニングでいなくなったこともあり(レギュラーメンバー紹介の後のタイトルバックではボスが変わらずに歩いていましたが)、本放送時には唖然としました。今となると、単独で聴くと悪い曲ではないのですが、14年以上ほぼ毎週放送されてきた本作のオープニング曲としては、やはり違うなあ、との思いは変わりません。オープニング曲はこれまで通りでよかったと思うのですが。
707話「いつか見た、青い空」9
公園で女性の死体が発見されます。女性の死体の側で虫籠が見つかり、オニヤンマの翅が1枚入っていました。被害者の身許はなかなか分かりませんでしたが、息子が名乗り出てきます。女性は山梨県の清里に住んでおり、東京には縁者もいませんでした。女性はなぜとくに縁もない東京に出ていったのか、遺族にも分かりませんでした。何とも謎めいた事件ですが、女性の息子の妻は、被害者が1週間ほど前から様子がおかしかった、と証言します。トシさんはマイコンとともに清里に向かい、女性の兄が第二次世界大戦直後の混乱のなか行方不明になり、前年に工事中に山中で遺体が発見された、という情報を得ます。さらにトシさんとマイコンは、女性に虫籠を渡した子供から、女性が誰かと会う予定だった、と聞き出します。トシさんとマイコンは捜査を進め、女性が会う予定なのは、普段は外国で生活しており、写真展のために東京に戻ってきた高名な写真家ではないか、と推理します。高名な写真家と殺された女性との間にどのようなつながりがあるのか、謎めいた展開となり、この点では私の好みでした。
女性と写真家との間には、第二次世界大戦末期に東京から清里に疎開してきた、というつながりがありました。この時、女性は兄と農作物を盗んでいたのですが、子供時代の写真家に容疑がかけられ、女性はそのことを後悔していました。じつは、写真家はその後、女性の兄からトンボを渡されたものの、泥棒の嫌疑をかけられたことから拒絶し、女性の兄と言い争って殺してしまっており、女性と再会した時に、トンボを渡されるという酷似した状況でその時のことを思い出し、錯乱して女性を殺してしまったのでした。敗戦後の混乱のなかの、何とも悲しい人間模様が原因となった事件でした。今回の本放送日は1986年8月15日で、そのことを強く意識した話になっていました。本放送から30年以上経過し、第二次世界大戦はさらに遠くなってしまった感もありますが、二度とあのような惨劇を迎えないよう、意識していきたいものです。選曲が全体的に懐かしく、この点も高評価となります。
著名な作曲家が自動車に撥ねられて死にます。偶然立ち寄った喫茶店でマスターから、被害者が若い男性と言い争っており、拳銃という言葉も聴こえた、という話を聞いたドックとマイコンは、事故ではなく事件ではないかと疑い、遺族に話を聞きに行きます。作曲家の妻は18歳でした。一係は捜査を進め、作曲家が過去に拳銃を密輸したかもしれない、という情報を得ます。さらに、未亡人には1億円の保険金が支払われることになっており、マイコンは保険金目当てで妻が夫を殺害したのではないか、と疑います。
18歳の未亡人に接近する若い女性の存在や、作曲家が殺された理由など、謎解き要素が強く、その点ではなかなか楽しめました。マイコンが一度は疑った未亡人を信じ、未亡人が夫を殺したわけではなかった、というオチはひねりに欠けた感もありますが、謎解き要素はまずまず面白かったので、悪くはなかったと思います。今回も、署長が一係で指示を出す場面が描かれましたが、さほど居丈高ではなく、嫌みを言うわけでもないので、なかなか好印象です。
本題からずれる話になってしまいますが、今回、トシさんが、昔(1986年視点での昔ということですが)は取り締まりが甘く、拳銃密輸は容易だった、と発言していました。とあるスポーツで偉そうな解説を繰り返している人や、実績だけではなく人格まで賞賛されているような故人が、拳銃密輸事件に関わった背景にはそんなことがあったのだな、と思った次第です。そうした人たちと比較して、そのスポーツにおける現在の第一人者が、「品格」で劣っているとはとても思えないのですが。
705話「一億五千万円」7
男性が1億5千万円を拾得し、6ヶ月間持ち主が現れなかったので、1億5千万円は男性が得ることになります。男性には詐欺の前科がありました。しかし、1億5千万円を銀行に輸送する途中、ブルースと男性は3人組に襲撃され、1億5千万円を奪われて負傷します。ドックは、事件は税金逃れのための男性による自作自演ではないか、と疑います。ドックだけではなく、男性の妻も夫を疑っていました。それでもブルースは、自分を庇ってくれた男性を信じようとします。いかにも胡散臭い男性は、けっきょく強奪事件の犯人ではなかったものの、そもそも1億5千万円を拾得したのではなく、盗んでいたのでした。なかなかひねった話になっており、まずまず楽しめました。
706話「ボス!任せてください」4
山さんが殉職した後もしばらくは代わりの刑事が登場せず、その間にボスが病気療養となり、レギュラー6人体制となって寂しさもあったのですが、今回、橘警部とDJが赴任してきます。橘警部は、ボスが復帰するまでの代役なのですが、やたらと堅苦しいい人だという印象が残っています。演じるのが渡哲也氏で、本作への出演は多くの視聴者にとって違和感があるのではないか、と考慮しての人物造形でもあるのでしょうか。「異物」であることを前面に出したのかな、と思います。DJの方は、軽い感じの破天荒な新人若手刑事という人物造形になっています。若手刑事の人物造形としては陳腐とも言えますが、これまでの新人若手刑事よりもさらにはみ出し者といった性格が強くなっており、この点は工夫されていると思います。ただ、視聴率の低迷している末期での新登場だったので、じっくりと成長を描くだけの期間がなかったのは残念でした。
話の方はほとんど忘れていましたが、犯人が冒頭でいつも注文していたメニューを訊かれて激怒した場面はよく覚えていました。話の方は、全体的に個人的にはあまり響かないというか、新鮮さを感じませんでした。まあ、今回は何よりも、オープニング曲が大きく変わったことが本当に衝撃的で、ボスがオープニングでいなくなったこともあり(レギュラーメンバー紹介の後のタイトルバックではボスが変わらずに歩いていましたが)、本放送時には唖然としました。今となると、単独で聴くと悪い曲ではないのですが、14年以上ほぼ毎週放送されてきた本作のオープニング曲としては、やはり違うなあ、との思いは変わりません。オープニング曲はこれまで通りでよかったと思うのですが。
707話「いつか見た、青い空」9
公園で女性の死体が発見されます。女性の死体の側で虫籠が見つかり、オニヤンマの翅が1枚入っていました。被害者の身許はなかなか分かりませんでしたが、息子が名乗り出てきます。女性は山梨県の清里に住んでおり、東京には縁者もいませんでした。女性はなぜとくに縁もない東京に出ていったのか、遺族にも分かりませんでした。何とも謎めいた事件ですが、女性の息子の妻は、被害者が1週間ほど前から様子がおかしかった、と証言します。トシさんはマイコンとともに清里に向かい、女性の兄が第二次世界大戦直後の混乱のなか行方不明になり、前年に工事中に山中で遺体が発見された、という情報を得ます。さらにトシさんとマイコンは、女性に虫籠を渡した子供から、女性が誰かと会う予定だった、と聞き出します。トシさんとマイコンは捜査を進め、女性が会う予定なのは、普段は外国で生活しており、写真展のために東京に戻ってきた高名な写真家ではないか、と推理します。高名な写真家と殺された女性との間にどのようなつながりがあるのか、謎めいた展開となり、この点では私の好みでした。
女性と写真家との間には、第二次世界大戦末期に東京から清里に疎開してきた、というつながりがありました。この時、女性は兄と農作物を盗んでいたのですが、子供時代の写真家に容疑がかけられ、女性はそのことを後悔していました。じつは、写真家はその後、女性の兄からトンボを渡されたものの、泥棒の嫌疑をかけられたことから拒絶し、女性の兄と言い争って殺してしまっており、女性と再会した時に、トンボを渡されるという酷似した状況でその時のことを思い出し、錯乱して女性を殺してしまったのでした。敗戦後の混乱のなかの、何とも悲しい人間模様が原因となった事件でした。今回の本放送日は1986年8月15日で、そのことを強く意識した話になっていました。本放送から30年以上経過し、第二次世界大戦はさらに遠くなってしまった感もありますが、二度とあのような惨劇を迎えないよう、意識していきたいものです。選曲が全体的に懐かしく、この点も高評価となります。
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