アウストラロピテクス属化石「リトルフット」の公開

 これは12月8日分の記事として掲載しておきます。南アフリカ共和国のスタークフォンテン(Sterkfontein)洞窟で発見されたアウストラロピテクス(Australopithecus)属化石「リトルフット(StW 573)」が復元され、国内外のメディアに公開された、と報道されました。リトルフットは1994年に発見されましたが、固い角礫岩に埋まっていたので、長い時間をかけて慎重に取り出され、復元されました。人類に限らず哺乳類の化石は脆いので、長期間を経て良好な状態で保存されていることはほとんどないのですが、リトルフットは固い角礫岩に埋まっていたため、たいへん良好な状態で発見されました。

 リトルフットの年代は、以前は220万年前頃と推定されていましたが、近年になって、367万±16万年前と修正されています(関連記事)。これだけ古い時代の保存状態が良好な人類化石はまだ知られておらず、アフリカ南部の人類化石としても、リトルフットは最古となります。現時点では、アウストラロピテクス属の出現はアフリカ東部の方が早く、400万年以上前までさかのぼります(関連記事)。しかし、遅くとも367万年前頃にはアフリカ南部までアウストラロピテクス属が拡散していたとなると、アウストラロピテクス属の拡散は、出現してからさほど時間が経過していない時期までさかのぼるかもしれません。

 リトルフットはアウストラロピテクス属と分類されていますが、詳細な形態学的特徴や種区分については、まだ研究が公表されていません。近いうちに、復元されたリトルフットについての論文が国際的な学術誌に掲載される予定とのことで、たいへん注目されます。400万~300万年前頃のアウストラロピテクス属化石としてはアファレンシス(Australopithecus afarensis)がよく知られており、リトルフットがアファレンシスとどのように違うのか、どこまで類似しているのか、ということが注目されます。

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