ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』666話~669話

666話「父親ブルース」6
 ブルースが登場してから2年以上経過しましたが、ついにブルースの妻が妊娠します。そもそも、本作では若手刑事がほとんど独身なのですが(人気を落とさないためでしょうか)、ブルースは男性若手刑事としてはロッキー以外では唯一の既婚刑事で、ロッキーとは異なり登場時点で結婚していました。本作では異例の設定と言えるでしょう。話の方は、この時期の多くの話と同様に、一度は視聴したはずなのにすっかり忘れていましたが、覚醒剤取引の捜査中に銃撃されるというブルースの危機と、妊娠という新たな生命の誕生とを対比させる構造になっており、王道的と言えそうです。偶然、覚醒剤所持の犯人を乗せてしまったタクシー運転手の決断により物語が展開しますが、このタクシー運転手がなかなか強かでクズなのですが、親子関係がわりと丁寧に描かれており、まずまず楽しめました。


667話「デュークという名の刑事」4
 デュークが登場してから7話目にして、やっとデューク単独の主演作となります。もう少し活躍させる場を作ってやってもよかったように思います。すでに、デュークの複雑な家庭環境は示唆されていましたが、今回はそれも絡んで話が展開します。殺人事件の目撃者からどうやって話を聞きだすのか、デュークの手腕が問われるのですが、一匹狼的な刑事らしく強引な捜査が目立つものの、やや印象が弱い感は否めません。むしろ、いかにも小市民といった感じの目撃者たちの方が、キャラは立っていたように思います。一匹狼的な刑事も三代目となり、人物造形が難しかったのかもしれません。


668話「絆」9
 ロッキーの先輩刑事の吉岡という男性がマミーを訪ねて来て、退職する決意を伝えます。しかし、その後すぐ、吉岡は転落死体で発見され、マミーは動揺します。自殺なのか他殺なのか、一係の判断は分かれますが、マミーにはどうしても自殺だと思えませんでした。しかし、吉岡の妻も自動車に轢かれ、状況からは自殺を試みたと思われました。さすがにマミーも自殺説の方に傾きかけますが、それでもマミーは自殺以外の可能性を追求します。デュークやドックは、自殺説を追いかけていけば、家族の絆を壊すことになるかもしれない、と警告しますが、それでもマミーは捜査を続ける決意を伝え、一係は捜査を続行します。自動車に轢かれる前に吉岡の妻が深刻な表情で呟いた夫婦の絆という言葉が鍵となり、話が展開します。

 捜査が進むと、吉岡がかつて山岸という男性を殺した疑惑が浮かんできます。吉岡の妻は、結婚前に山岸に暴行されそうになり、それを助けたのが吉岡でした。吉岡の妻も、夫が山岸を殺したかもしれない、と疑い続けてきました。山岸の遺体が発見された後、夫が自殺したかもしれないと聞き、吉岡の妻は、夫が口封じのために自分と結婚したのではないか、と絶望して自動車の前に飛び出てしまいました。マミーは吉岡の妻から当時の様子を聞き出し、吉岡が山岸を殺したのではない、と確信します。けっきょく真犯人は、吉岡が再就職しようとした警備会社の専務で、かつて山岸を殺しただろう、と吉岡に指摘されて吉岡を殺したのでした。謎解き要素とともに、ヒューマンドラマ的性格もあり、かなり楽しめました。このような大人向けの話は、子供の頃だとあまり楽しめなかったかもしれませんが、40代半ばとなった今では心に染み入るものがあります。年齢を重ねていくと、新たな面白さを見出せることが多いのも、本作の魅力と言えそうですか。未亡人というマミーの設定が活かされていたのもよかったと思います。


669話「刑事にだって秘密はある!」5
 レストランで大会社の専務の男性が銃撃され、非番でレストランを訪れたマイコンは犯人を追いかけますが、犯人は逃亡します。会社では次期社長の座をめぐって専務派と常務派が争っており、一係はその線でも捜査を続けます。今回は、事件の真相とともに、マイコンの謎めいた行動も描かれ、マイコンの秘密も謎解き要素となっています。まあ、真相はさほど面白くなく、そんなに深い話でもないのですが、喜劇調にもなっていて、まずまず楽しめました。本作は喜劇・悲劇・ミステリーなど多様な話で構成されており、それが長期放送の一因だったように思います。

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