大河ドラマ『おんな城主 直虎』第39回「虎松の野望」

 これは10月2日分の記事として掲載しておきます。龍潭寺で直親(亀之丞)の十三回忌法要が執り行われ、直虎(次郎法師)は6年ぶりに虎松(井伊直政)と会います。虎松の母である「しの」は、虎松を松下家の嫡男として徳川に仕官させたい、と考えていました。しかし虎松は、亥之助とともに豊かな井伊谷を見てまわり、実質的な領主としての直虎の手腕に感心するとともに、井伊家の再興を決意します。虎松は改めて直虎に、井伊家再興の意志はないのか、と尋ねますが、井伊家を再興させるつもりはない、と直虎は返答します。

 虎松は井伊家再興のために動き出しますが、拙速であり、松下家にたいして恩を仇で返す行為ではないか、と奥山六左衛門は諌言します。しかし虎松は、奥山六左衛門を言いくるめ、直虎や母の「しの」に黙って行動に移ります。虎松から井伊家再興の意志を聞いた南渓和尚は、岡崎城に赴いて徳川家康の嫡男である徳川信康(竹千代)と瀬名(築山殿)に会います。虎松は瀬名を通じて、家名を井伊に戻して家康に仕えたい、と申し出ます。徳川家臣のうち、石川数正は虎松の申し出に肯定的ですが、榊原康政は否定的です。

 虎松は鷹狩で家康にお目見えすることになります。家康は直前まで、虎松を松下のままとするか、それとも井伊の家名を復活させるのか、悩んでおり、虎松に松下と井伊のどちらを選ぶのか、問いかけます。虎松は、井伊家を再興させたい、と答えます。家康は虎松に、万千代と名乗るよう命じ、虎松は家康に忠誠を誓います。虎松が井伊として徳川に仕えることに、松下家を蔑ろにするものだ、と酒井忠次は家康に諌言します。すると家康は、松下としてなら小姓に取り立てるが、井伊としてなら草履番とする、と万千代に言い渡します。万千代は、主君から認められた家名を自分の都合で変えるわけにはいかない、と言って井伊の者として草履番に励む、と返答します。さすがに万千代は落ち込みますが、小野亥之助と二人きりになると、激昂し、いつか家康たちを殺す、と叫び、亥之助は万千代を必死に宥めます。

 今回は万千代が実質的な主役となり、終盤は万千代中心に物語が展開することを予感させます。万千代は聡明ではあるものの、今回は策を弄して壁に阻まれたという感じで、こうした挫折を経ての万千代の出世が終盤の見どころとなりそうです。万千代は冷静なようでいて、感情の起伏の激しいところもあり、なかなか魅力的な人物造形になりそうな気がします。徳川で注目されるのは嫡男の信康で、優等生的な印象を受けました。その母である瀬名は、まだ夫の家康との関係は良好なようで、信康事件がどう描かれるのか、楽しみです。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • おんな城主直虎 第39回「虎松の野望」

    Excerpt: 物語としては、徐々に直虎から虎松へと主人公が変わっていく、そんな分岐点にさしかかっているように見えます。菅田将暉さん演じる虎松、朝倉あきさん演じる高瀬など子役や幼少期から時代が変わっていく様子をとらえ.. Weblog: あしたまにあーな racked: 2017-10-01 22:14