大相撲秋場所千秋楽

 これは9月26日分の記事として掲載しておきます。今場所は四横綱・三大関という豪華な番付でしたが、初日から白鵬関・稀勢の里関・鶴竜関の三横綱が、大関のうち、高安関が3日目から、照ノ富士関が6日目から途中休場となり、千秋楽まで出場したのは横綱が日馬富士関1人、大関が豪栄道関1人となりました。異例の事態で、4敗まで優勝圏内だったことも含めて、盛り上がりに欠ける場所になってしまった感は否めません。相撲人気が復調傾向にあっただけに、何とも残念です。

 照ノ富士関は大関から陥落することとなり、大関昇進後に負傷した時、強引に出場せず休場しておけば、と惜しまれます。照ノ富士関は、一時は完全に実力で稀勢の里関を上回ったように思われ、最も横綱に近い力士だっただけに、このまま以前の実力を取り戻せないとなると、残念でなりません。まあ、照ノ富士関の強引な取り口では、稀勢の里関との取り組みで負傷せずとも、いつかは大怪我となっていたかもしれませんが。おそらく相撲協会にとって最大の誤算だったのは、横綱・大関陣では体調面で最も不安の少なそうな高安関が負傷して途中休場したことで、横綱・大関陣で唯一優勝経験のない高安関が優勝争いに加わっていれば、もっと盛り上がったのではないか、と思います。

 優勝争いは、終盤に入って豪栄道関が星二つの差をつけて独走するのかと思っていたら、12・13日目と連敗し、混沌としてきました。14日目が終わった時点で優勝争いは3敗の豪栄道関と4敗の日馬富士関に絞られました。満身創痍の日馬富士関は途中3連敗し、立ち直りかけたところで負けて4敗となり、優勝争いから脱落したと思っていたのですが、豪栄道関が自滅して失速したため、優勝争いに加わってきました。まあ、負けていたとはいえ、動き自体はさほど悪くなかったように見えましたので、低水準の優勝争いとなった今場所は何とか踏みとどまった、といった感じでしょうか。

 日馬富士関と豪栄道関は千秋楽結びの一番で対戦し、日馬富士関が寄り切って勝ってともに4敗で並び、優勝決定戦でも日馬富士関が豪栄道関を圧倒して寄り切って勝ち、9回目の優勝を果たしました。終盤の勢いの差から考えて、日馬富士関の逆転優勝を予想していた人は私も含めて多かったでしょうし、この結果はとくに意外ではありませんでした。日馬富士関は優勝したとはいえ、三横綱・二大関が休場し、4敗ですから、低水準なのは間違いありません。

 率直に言って、三横綱・二大関が休場したことも含めて、白けた場所になってしまった感は否めません。ただ、横綱・大関陣で千秋楽まで出場した2人が千秋楽結びの一番まで優勝争いに加わったので、何とか格好はついたかな、とも思います。これだけ横綱・大関陣が不振だったのに、関脇以下で千秋楽まで優勝争いに加わった力士がいないのは、まだ横綱・大関陣と関脇以下で大きな実力差がある、ということなのでしょう。横綱・大関陣7人(このうち照ノ富士関は今場所で陥落となりましたが)のうち5人は30代で、横綱4人は全員30代で状態の不安が大きいわけですから、そろそろ世代交代が本格的に進まないと本当に困ります。

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