最初期の被子植物

 これは8月23日分の記事として掲載しておきます。最初期の被子植物に関する研究(Sauquet et al., 2017)が公表されました。被子植物は地球上に生息する植物全体の約90%を占め、約1億4000万年前に生息していた単一の祖先に起源がある、と考えられています。被子植物とその特有の構造である花の起源と初期の進化については解明が進んでおらず、花の化石記録もひじょうに少ないため、花の進化の解明には新たな方法が必要となっています。

 この研究は、花進化のモデルと現生種の花の形質に関する膨大なデータベースを組み合わせ、古代の被子植物の花の特徴を復元し、多様化のシナリオを提案しています。この復元結果では、祖先型の花に、「めしべ」と「おしべ」の両方の部分が存在し、花弁様器官が三輪生していくつかの層になっていたことが示唆されています。こうした特徴の一部については不確実な点が残っていますが、今回の復元によって花の初期多様化に関する妥当なシナリオを提案できるようになり、ここから将来の被子植物研究のための新しい検証可能な仮説を立てられるようになる、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【進化】地球上に初めて咲いた花の姿

 祖先型被子植物の花が復元され、古代の花の姿を垣間見ることが可能になったことを報告する論文が、今週掲載される。この論文は、被子植物の進化と多様化を洞察する手掛かりになるだろう。

 被子植物は、地球上に生息する植物全体の約90%を占め、約1億4000万年前に生息していた単一の祖先に起源があると考えられている。被子植物とその特有の構造である「花」の起源と初期の進化については解明が進んでおらず、花の化石記録も非常に少ないため、花の進化の解明には新たな方法が必要となっている。今回、Herve Sauquetたちの研究グループは、花進化のモデルと現生種の花の形質に関する膨大なデータベースを組み合わせて、古代の被子植物の花の特徴を復元し、多様化のシナリオを提案した。この復元結果では、祖先型の花に、めしべとおしべの両方の部分が存在し、花弁様器官が三輪生していくつかの層になっていたことが示唆されている。

 こうした特徴の一部については不確実な点が残っているが、今回の復元によって、花の初期多様化に関する妥当なシナリオを提案できるようになり、ここから将来の被子植物研究のための新たな検証可能な仮説を立てられるようになる、とSauquetたちは指摘している。



参考文献:
Sauquet H. et al.(2017): The ancestral flower of angiosperms and its early diversification. Nature Communications, 8, 16047.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms16047

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