他人に与えると気分が良くなる脳内機構
他人に与えると気分が良くなる脳内機構についての研究(Park et al., 2017)が公表されました。気前の良い行動は、さまざまな社会と文化で高く評価されていますが、この行動は本人の資源を他人の利益のために投資することが関係する傾向があるため、標準的な経済理論で説明することは難しいとされています。この点について、気前の良さに伴って増進される幸福感が気前の良さの動機だとする研究報告がすでに存在します。
この研究は、気前の良い行動と幸福感を結びつける脳の機構について調べるため、50人の参加者に金銭消費課題を実施させ、その際の脳の活動を分析しました。参加者には、4週間にわたって毎週25スイスフランが与えられることを告げた上で、その半数には、それが本人のために使うための金銭だと説明して、たとえば本人の食事といった使い道を書かせ、残りの半数には、たとえば友人や配偶者に夕食をおごることといった他人のために使うための金銭だと説明し、使い道を書かせました。この実験で他人のために金銭を使うことを公約した参加者は、この課題とは独立した別の課題でも気前の良さを示し、主観的幸福感と関連する特定の脳領域の活動が増大しました。
この結果から、公約に誘発された気前の良さと幸福感を結びつける脳領域が明らかになり、資源を自分のために使った方が自分の利益になるのに気前よく他人に与えるという非論理的な行動の理由を説明できる可能性が示唆されています。こうした脳内機構は、人類進化史において、評判を気にするような認知メカニズムが発達してきたこととも深く関わっているのでしょう。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【神経科学】他人に与えると気分が良くなる脳内機構
自分の懐が痛んでも他人に気前よく与える人は多いのだが、その理由は、気前が良くなると活性化する脳領域と幸福感に関係する脳領域が結びつくことである可能性を指摘する論文が、今週掲載される。
気前の良い行動は、さまざまな社会と文化で高く評価されているが、この行動は本人の資源を他人の利益のために投資することが関係する傾向があるため、標準的な経済理論で説明することは難しい。この点について、気前の良さに伴って増進される幸福感が気前の良さの動機だとする研究報告が既に存在する。
今回、Soyoung Parkたちは、気前の良い行動と幸福感を結びつける脳の機構について調べるため、50人の参加者に金銭消費課題を行わせて、その際の脳の活動を分析した。参加者には、4週間にわたって毎週25スイスフランが与えられることを告げた上で、その半数には、それが本人のために使うための金銭だと説明して、その使い道(例えば本人の食事)を書かせ、残りの半数には、他人のために使うための金銭だと説明して、使い道(例えば友人や配偶者に夕食をおごること)を書かせた。この実験で他人のために金銭を使うことを公約した参加者は、この課題とは独立した別の課題でも気前の良さを示し、主観的幸福感と関連する特定の脳領域の活動が増大した。
以上をまとめると、今回の研究結果で、公約に誘発された気前の良さと幸福感を結びつける脳領域が明らかになり、資源を自分のために使った方が自分の利益になるのに気前よく他人に与えるという非論理的な行動の理由を説明できる可能性が示唆されている。今回の研究では、他人に与えると幸福感が増すように脳領域が活性化することが分かったのだ。
参考文献:
Park SQ. et al.(2017): A neural link between generosity and happiness. Nature Communications, 8, 15964.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15964
この研究は、気前の良い行動と幸福感を結びつける脳の機構について調べるため、50人の参加者に金銭消費課題を実施させ、その際の脳の活動を分析しました。参加者には、4週間にわたって毎週25スイスフランが与えられることを告げた上で、その半数には、それが本人のために使うための金銭だと説明して、たとえば本人の食事といった使い道を書かせ、残りの半数には、たとえば友人や配偶者に夕食をおごることといった他人のために使うための金銭だと説明し、使い道を書かせました。この実験で他人のために金銭を使うことを公約した参加者は、この課題とは独立した別の課題でも気前の良さを示し、主観的幸福感と関連する特定の脳領域の活動が増大しました。
この結果から、公約に誘発された気前の良さと幸福感を結びつける脳領域が明らかになり、資源を自分のために使った方が自分の利益になるのに気前よく他人に与えるという非論理的な行動の理由を説明できる可能性が示唆されています。こうした脳内機構は、人類進化史において、評判を気にするような認知メカニズムが発達してきたこととも深く関わっているのでしょう。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【神経科学】他人に与えると気分が良くなる脳内機構
自分の懐が痛んでも他人に気前よく与える人は多いのだが、その理由は、気前が良くなると活性化する脳領域と幸福感に関係する脳領域が結びつくことである可能性を指摘する論文が、今週掲載される。
気前の良い行動は、さまざまな社会と文化で高く評価されているが、この行動は本人の資源を他人の利益のために投資することが関係する傾向があるため、標準的な経済理論で説明することは難しい。この点について、気前の良さに伴って増進される幸福感が気前の良さの動機だとする研究報告が既に存在する。
今回、Soyoung Parkたちは、気前の良い行動と幸福感を結びつける脳の機構について調べるため、50人の参加者に金銭消費課題を行わせて、その際の脳の活動を分析した。参加者には、4週間にわたって毎週25スイスフランが与えられることを告げた上で、その半数には、それが本人のために使うための金銭だと説明して、その使い道(例えば本人の食事)を書かせ、残りの半数には、他人のために使うための金銭だと説明して、使い道(例えば友人や配偶者に夕食をおごること)を書かせた。この実験で他人のために金銭を使うことを公約した参加者は、この課題とは独立した別の課題でも気前の良さを示し、主観的幸福感と関連する特定の脳領域の活動が増大した。
以上をまとめると、今回の研究結果で、公約に誘発された気前の良さと幸福感を結びつける脳領域が明らかになり、資源を自分のために使った方が自分の利益になるのに気前よく他人に与えるという非論理的な行動の理由を説明できる可能性が示唆されている。今回の研究では、他人に与えると幸福感が増すように脳領域が活性化することが分かったのだ。
参考文献:
Park SQ. et al.(2017): A neural link between generosity and happiness. Nature Communications, 8, 15964.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15964
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