カナダにおける人口増加の要因
カナダにおける人口増加の要因に関する研究(Pelletier et al., 2017)が公表されました。これまで、進化は時間のかかる過程だと考えられてきました。しかし最近では、進化には生物種の生態学的動態に測定可能な違いを生み出すだけの速さがあり、たとえば人口増加率を高めたり、地理的分布の拡大を加速したりする、という認識が浸透しつつあります。ただ、そうした「急速な進化」の人間集団にとっての重要性はさほど大きなものではない、と考えられていました。
この研究は、カナダのケベック州のクードル島のコミュニティーの家系記録を分析し、1772~1880年生まれの女性に着目しました。その結果、人口増加に対する1人の女性の寄与の大きさが生殖開始年齢という形質に依存しており、この形質の個人差が、この形質に関連する遺伝子に部分的に依存していることが明らかになりました。生殖開始年齢が低下しなかった場合には、今よりも人口増加率が約6%低下し、人口が12%少なくなっていた、と推定されています。生殖開始年齢の個人差は、文化的影響を反映している面もあるものの、家系における生殖開始年齢のパターンは顕著な遺伝的寄与に相当します。したがって、ヒトの進化が現代の人口過程に影響を及ぼす可能性は、これまで考えられていたよりも大きいかもしれない、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【進化】カナダの人口増加に大きく寄与した要因
生殖開始年齢の進化的変化が現代のカナダの人口増加に大きく寄与したと結論づけた論文が、今週掲載される。この論文の著者は、女性が生殖を開始する年齢の遺伝的変化によってカナダの人口が100年間に12%増加したと推定している。
進化は時間のかかるプロセスだとこれまで考えられていた。これに対して、進化には、生物種の生態学的動態に測定可能な違いを生み出すだけのスピードがあり、例えば人口増加率を高めたり、地理的分布の拡大を加速したりするという認識が高まっている。しかし、そうした「急速な進化」の人間集団にとっての重要性は、さほど大きなものではないと考えられていた。
今回、Fanie Pelletierたちの研究グループは、クードル島(カナダ・ケベック州)のコミュニティーの家系記録を分析し、1772~1880年生まれの女性に着目した。その結果、人口増加に対する1人の女性の寄与の大きさが生殖開始年齢という形質に依存しており、この形質の個人差が、この形質に関連する遺伝子に部分的に依存していることが分かった。生殖開始年齢が低下しなかった場合には、今よりも人口増加率が約6%低下し、人口が12%少なくなっていたと考えられている。
生殖開始年齢の個人差は、文化的影響を反映している面もあるが、家系における生殖開始年齢のパターンは、顕著な遺伝的寄与に相当する。従って、ヒトの進化が現代の人口過程に影響を及ぼす可能性は、これまで考えられていたよりも大きいかもしれない。
参考文献:
Pelletier F. et al.(2017): Eco-evolutionary dynamics in a contemporary human population. Nature Communications, 8, 15947.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15947
この研究は、カナダのケベック州のクードル島のコミュニティーの家系記録を分析し、1772~1880年生まれの女性に着目しました。その結果、人口増加に対する1人の女性の寄与の大きさが生殖開始年齢という形質に依存しており、この形質の個人差が、この形質に関連する遺伝子に部分的に依存していることが明らかになりました。生殖開始年齢が低下しなかった場合には、今よりも人口増加率が約6%低下し、人口が12%少なくなっていた、と推定されています。生殖開始年齢の個人差は、文化的影響を反映している面もあるものの、家系における生殖開始年齢のパターンは顕著な遺伝的寄与に相当します。したがって、ヒトの進化が現代の人口過程に影響を及ぼす可能性は、これまで考えられていたよりも大きいかもしれない、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【進化】カナダの人口増加に大きく寄与した要因
生殖開始年齢の進化的変化が現代のカナダの人口増加に大きく寄与したと結論づけた論文が、今週掲載される。この論文の著者は、女性が生殖を開始する年齢の遺伝的変化によってカナダの人口が100年間に12%増加したと推定している。
進化は時間のかかるプロセスだとこれまで考えられていた。これに対して、進化には、生物種の生態学的動態に測定可能な違いを生み出すだけのスピードがあり、例えば人口増加率を高めたり、地理的分布の拡大を加速したりするという認識が高まっている。しかし、そうした「急速な進化」の人間集団にとっての重要性は、さほど大きなものではないと考えられていた。
今回、Fanie Pelletierたちの研究グループは、クードル島(カナダ・ケベック州)のコミュニティーの家系記録を分析し、1772~1880年生まれの女性に着目した。その結果、人口増加に対する1人の女性の寄与の大きさが生殖開始年齢という形質に依存しており、この形質の個人差が、この形質に関連する遺伝子に部分的に依存していることが分かった。生殖開始年齢が低下しなかった場合には、今よりも人口増加率が約6%低下し、人口が12%少なくなっていたと考えられている。
生殖開始年齢の個人差は、文化的影響を反映している面もあるが、家系における生殖開始年齢のパターンは、顕著な遺伝的寄与に相当する。従って、ヒトの進化が現代の人口過程に影響を及ぼす可能性は、これまで考えられていたよりも大きいかもしれない。
参考文献:
Pelletier F. et al.(2017): Eco-evolutionary dynamics in a contemporary human population. Nature Communications, 8, 15947.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15947
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