大相撲名古屋場所千秋楽

 これは7月25日分の記事として掲載しておきます。14日目が終わった時点で、優勝争いは1敗の白鵬関と2敗の碧山関に絞られました。まず碧山関が登場して嘉風関と対戦して叩き込みで勝ち、13勝2敗として優勝決定戦進出に望みをつなぎました。白鵬関は結びの一番で日馬富士関と対戦し、寄り倒しで勝って39回目の優勝を果たしました。今場所の白鵬関は安定していたと思いますが、他の上位陣が不調なので相対的に白鵬関の安定が目立った感じで、全盛期よりも衰えたことは明らかだと思います。格下相手にたいする張り差しの多様は、後半戦に体力を温存しておくために、より楽に勝とうとするからなのでしょう。他の上位陣が不調なので、白鵬関が40回目の優勝を果たす可能性はかなり高そうです。

 その不調の上位陣の一人である稀勢の里関は5日目を終えた時点で2勝3敗となり、6日目から休場となりました。大相撲に関心のある多くの人が懸念していたであろうように、稀勢の里関は先々場所の負傷が完治しておらず、実力を出せないまま休場に追い込まれました。私は、そもそも先々場所13日目に負傷した時点で稀勢の里関は休場すべきだと考えており(関連記事)、先場所も、明らかに完治していないので休場すべきだと思っていました(関連記事)。稀勢の里関は、今場所も、場所前に不調が伝えられていたにも関わらず強行出場し、負けが込んでやっと休場を決断したといった感じで、明らかに判断を間違ったと思います。

 稀勢の里関の人気で客入りも好調なだけに、相撲協会の無言の圧力があったのかもしれませんが、稀勢の里関が相撲協会の意向を「忖度」して出場したのかな、とも思います。しかし、精神面で脆さのある器の小さな稀勢の里関が意固地になって出場を強行した、というのが真相に近いのではないかと思います。大横綱だった今は亡き九重親方(千代の富士関)は、相撲中継の解説でたびたび、休場して怪我を治療する決断をくだす勇気の必要性を主張していましたが、照ノ富士関といい稀勢の里関といい、本当に九重親方の指摘通りだと思います。稀勢の里関は横綱ですし、貴乃花関のような実績を残しているわけでもなく、横綱に昇進したばかりなのですから、ここで無理をする必要はまったくなかったと思います。

 先場所に続いての今場所の強行出場により、稀勢の里関の現役生活は大きく縮まったというか、もう優勝争いに加わるのは難しいかもしれません。他の三横綱も満身創痍ですから、先々場所12日目までは四横綱のなかで最も身体面で不安の少なそうだった稀勢の里関が負傷を悪化させたことで、今後1年で四横綱が相次いで引退に追い込まれる可能性もあると思います。とくに、先場所に続いて序盤で途中休場となった鶴竜関は、来場所で引退となっても不思議ではありません。大関の照ノ富士関も負けが込んで6日目から休場となり、来場所で大関から陥落しても不思議ではありません。上位陣が大きく崩れた今場所ですが、関脇以下とはまだ大きな実力差があることも否定できず、近いうちに悪い意味で混戦状態になるのでは、と不安になります。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック