ネコの起源
これは6月22日分の記事として掲載しておきます。ネコの起源に関する研究(Ottoni et al., 2017)が公表されました。ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた、と考えられています。この研究は、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析しました。
その結果、二つの大きなネコ系統が現在のイエネコに寄与したことが明らかになりました。その一つであるIV-Aは、まずアジア南西部に出現し、紀元前4400年にはヨーロッパへ広がりました。一方、IV-Cと呼ばれるアフリカネコの系統はエジプトで主流となり、エジプトネコのミイラの多くを占めています。系統IV-Cはその後、紀元前1千年紀に、交易路に沿って地中海地方全域に広がったことが明らかになりました。おそらく、船上の齧歯類駆除にネコが好適であったので、拡大したと考えられます。
そうした地に到達すると、持ち込まれたネコは現地の飼育ネコや野生ネコと交雑し、雑種が形成されました。また、トラネコの模様(特徴的な斑のある縞)に関係する劣性遺伝子変異が中世になって初めて出現し、まずアジア南西部、次いでヨーロッパおよびアフリカの各地へ広がったことも明らかになりました。これは、最初のネコの飼養化では、観賞用形質ではなく行動形質が注目された可能性を示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
ネコのルーツ
ネコはインターネットを席巻するはるか以前に(旧)世界を席巻した、という論文が、今週掲載される。中石器ルーマニアから20世紀アンゴラまで、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析した結果、新石器時代以降のネコの広がり、近東およびエジプトの集団によるイエネコ遺伝子プールへの寄与、ならびに中世のトラネコの起源が明らかにされた。
ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた。Eva-Maria Geiglたちは、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、考古学的、歴史的なネコの遺物からDNAを収集し、塩基配列の解読を行った。
その結果、2つの大きなネコ系統が現在のイエネコに寄与したことが分かった。その1つであるIV-Aは、まずアジア南西部に出現し、紀元前4400年には欧州へ広がった。それに対し、IV-Cと呼ばれるアフリカネコの系統はエジプトで主流となり、エジプトネコのミイラの多くを占めている。系統IV-Cは、その後紀元前1千年紀に、交易路に沿って地中海地方全域に広がったことが分かった(おそらく、船上の齧歯類駆除にネコが好適であったことがそれを促進したと考えられる)。そうした地に到達すると、持ち込まれたネコは現地の飼育ネコや野生ネコと交雑し、雑種が形成された。研究チームは、意外にも、トラネコの模様(特徴的な斑のある縞)に関係する劣性遺伝子変異が中世になって初めて出現し、まずはアジア南西部、次いで欧州およびアフリカの各地へ広がったことを指摘している。このことは、研究チームの結論によれば、最初のネコの飼養化では、観賞用形質ではなく行動形質が注目された可能性があることを示唆している。
参考文献:
Ottoni C. et al.(2017): The palaeogenetics of cat dispersal in the ancient world. Nature Ecology & Evolution, 1, 0139.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0139
その結果、二つの大きなネコ系統が現在のイエネコに寄与したことが明らかになりました。その一つであるIV-Aは、まずアジア南西部に出現し、紀元前4400年にはヨーロッパへ広がりました。一方、IV-Cと呼ばれるアフリカネコの系統はエジプトで主流となり、エジプトネコのミイラの多くを占めています。系統IV-Cはその後、紀元前1千年紀に、交易路に沿って地中海地方全域に広がったことが明らかになりました。おそらく、船上の齧歯類駆除にネコが好適であったので、拡大したと考えられます。
そうした地に到達すると、持ち込まれたネコは現地の飼育ネコや野生ネコと交雑し、雑種が形成されました。また、トラネコの模様(特徴的な斑のある縞)に関係する劣性遺伝子変異が中世になって初めて出現し、まずアジア南西部、次いでヨーロッパおよびアフリカの各地へ広がったことも明らかになりました。これは、最初のネコの飼養化では、観賞用形質ではなく行動形質が注目された可能性を示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
ネコのルーツ
ネコはインターネットを席巻するはるか以前に(旧)世界を席巻した、という論文が、今週掲載される。中石器ルーマニアから20世紀アンゴラまで、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析した結果、新石器時代以降のネコの広がり、近東およびエジプトの集団によるイエネコ遺伝子プールへの寄与、ならびに中世のトラネコの起源が明らかにされた。
ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた。Eva-Maria Geiglたちは、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、考古学的、歴史的なネコの遺物からDNAを収集し、塩基配列の解読を行った。
その結果、2つの大きなネコ系統が現在のイエネコに寄与したことが分かった。その1つであるIV-Aは、まずアジア南西部に出現し、紀元前4400年には欧州へ広がった。それに対し、IV-Cと呼ばれるアフリカネコの系統はエジプトで主流となり、エジプトネコのミイラの多くを占めている。系統IV-Cは、その後紀元前1千年紀に、交易路に沿って地中海地方全域に広がったことが分かった(おそらく、船上の齧歯類駆除にネコが好適であったことがそれを促進したと考えられる)。そうした地に到達すると、持ち込まれたネコは現地の飼育ネコや野生ネコと交雑し、雑種が形成された。研究チームは、意外にも、トラネコの模様(特徴的な斑のある縞)に関係する劣性遺伝子変異が中世になって初めて出現し、まずはアジア南西部、次いで欧州およびアフリカの各地へ広がったことを指摘している。このことは、研究チームの結論によれば、最初のネコの飼養化では、観賞用形質ではなく行動形質が注目された可能性があることを示唆している。
参考文献:
Ottoni C. et al.(2017): The palaeogenetics of cat dispersal in the ancient world. Nature Ecology & Evolution, 1, 0139.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0139
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