温泉鉱床で発見された初期生物の痕跡

 温泉鉱床で発見された初期生物の痕跡に関する研究(Djokic et al., 2017)が公表されました。この研究は、オーストラリア西部のピルバラ地塊にある34億8000万年前頃の温泉鉱床が、陸上のものか海底のものかを確定するために調べたところ、高温のシリカ溶液から生成する鉱床で、陸上温泉でのみ見つかっているガイザライトが同定されました。このガイザライトには、ストロマトライト(微生物の活動によって形成した薄層状の累層)とその他の微生物の痕跡が見つかり、34億8000万年前頃の温泉に多様な生物が存在していたことが示されました。これにより、生物が存在する地球の陸上温泉の記録が約30億年さかのぼることになりました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【地質科学】温泉を好んだ初期生物の痕跡

 オーストラリアの34億8000万年前の温泉鉱床から発見された生物の証拠を提示した論文が、今週掲載される。この新知見は、生物が存在する地球の陸上温泉の記録を約30億年さかのぼらせるとともに地球上に生物が存在していたことを示す最も古い証拠の1つとなった。

 今回、Tara Djokicたちの研究グループは、西オーストラリアのピルバラ地塊にある34億8000万年前の温泉鉱床を調べた。Djokicたちは、この温泉鉱床が陸上のものか海底のものかを確定するために調べたところ、高温のシリカ溶液から生成する鉱床で、陸上温泉でのみ見つかっているガイザライトが同定された。このガイザライトには、ストロマトライト(微生物の活動によって形成した薄層状の累層)とその他の微生物の痕跡が見つかり、この34億8000万年前の温泉に多様な生物が存在していたことが示された。

 陸上温泉に多様な生物が存在しうることは理論的に確立しているが、この種の環境に生物が存在していたことを示す証拠は、約4億年前のものしか発見されていなかった。



参考文献:
Djokic T. et al.(2017): Earliest signs of life on land preserved in ca. 3.5 Ga hot spring deposits. Nature Communications, 8, 15263.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15263

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