大相撲夏場所千秋楽

 これは5月29日分の記事として掲載しておきます。今場所は白鵬関が14日目に1年振りとなる38回目の優勝を達成しました。千秋楽の注目は、白鵬関が全勝優勝を達成できるか否か、ということだったのですが、白鵬関は結びの一番で、上手を取れず防戦一方となりましたが、粘って日馬富士関の上手を切って一気に寄り切って勝ち、13回目の全勝優勝を果たしました。確かに、白鵬関は全盛期と比較すると明らかに衰えていますが、まだ現役最強と言えるでしょう。白鵬関には何とか40回まで優勝回数を伸ばしてもらいたいものです。

 日馬富士関は10日目まで全勝でしたが、終盤に崩れて11勝4敗となりました。日馬富士関にはまだ優勝できる力は残っていると思いますが、満身創痍なだけに、引退の時期は近そうです。鶴竜関は1勝3敗となり5日目から休場となりました。このブログでも何度か述べてきましたが、鶴竜関が横綱に相応しいとはまったく思わないので、意外な結果ではありませんでした。まあ、鶴竜関が横綱に昇進したのは、そもそも相撲協会が稀勢の里関を横綱に昇進させようとして基準を甘くしたことが原因なので、「横綱としてふがいない」などと言って鶴竜関を批判する資格が相撲協会にあるとは思えませんが。

 その稀勢の里関は10日目を終えた時点で6勝4敗となり、11日目から休場となりました。大相撲に関心のある多くの人が懸念していたであろうように、稀勢の里関は先場所の負傷が完治しておらず、実力を出せないまま休場に追い込まれました。私は、そもそも先場所13日目に負傷した時点で稀勢の里関は休場すべきだと考えており(関連記事)、今場所も、明らかに完治していないので休場すべきだと思っていました。けっきょく稀勢の里関は、負け越しの可能性が高くなってやっと休場を決断したといった感じで、明らかに判断を間違ったと思います。あるいは、稀勢の里関の人気で客入りも好調なだけに、相撲協会の無言の圧力があったのかもしれませんが、稀勢の里関が相撲協会の意向を「忖度」して出場したのかな、とも思います。

 まあ、どうであれ、精神面で脆さのある器の小さな稀勢の里関が意固地になって出場を強行したといった感じで、とても褒められたことではないと思います。大横綱だった九重親方(千代の富士関)は、相撲中継の解説でたびたび、休場して怪我を治療する決断をくだす勇気の必要性を主張していましたが、照ノ富士関といい稀勢の里関といい、本当に九重親方の指摘通りだと思います。稀勢の里関は横綱ですし、貴乃花関のような実績を残しているわけでもなく、横綱に昇進したばかりなのですから、ここで無理をする必要はまったくなかったと思います。

 今場所の強行出場により、稀勢の里関の現役生活は大きく縮まったというか、もう優勝争いに加わるのは難しいかもしれません。他の三横綱も満身創痍ですから、先場所12日目までは四横綱のなかで最も身体面で不安の少なそうだった稀勢の里関が負傷を悪化させたことで、今後1年で四横綱が相次いで引退に追い込まれる可能性もあると思います。二桁勝利とはいえ照ノ富士関も完調には程遠い状態で、以前の力を取り戻せるか怪しく、稀勢の里関と同部屋で大関昇進を決めた高安関もまだ横綱を目指すには実力不足でしょうから、横綱不在の時代が間もなく到来するかもしれません。

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