ヒトの身長に関連する遺伝子群

 これは4月7日分の記事として掲載しておきます。ヒトの身長に関連する遺伝子群についての研究(Marouli et al., 2017)が公表されました。ヒトの身長には複数の遺伝子が関与しており、複雑な形質の遺伝的解析のモデルとされてきました。ゲノム規模の関連研究によって、これまでに約700のありふれた多様体が身長と関連づけられていますが、低頻度の多様体や希少な多様体が果たす役割については、系統的な評価が行なわれていませんでした。この研究は、71万1418人のゲノムのコード領域を解析し、身長に関連する計120ヶ所の座位を発見した、と報告しています。このうち32ヶ所は希少なコーディング多様体、51ヶ所は低頻度のコーディング多様体で、これら83の身長関連多様体からは、成長に関連する新たな候補遺伝子や候補経路、成長障害に関わることが知られている生物学的経路が明らかになりました。これらの解析結果は、ヒトの身長に関するゲノム構造を知る手掛かりになる、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


遺伝学:希少なコーディングバリアントおよび低頻度のコーディングバリアントが成人の身長を変化させる

遺伝学:希少な遺伝的バリアントを新たな高みに

 遺伝的要因が大きく影響するポリジーン形質であるヒトの身長は、複雑な形質の遺伝的解析のモデルとなってきた。ゲノム規模の関連研究によって、これまでに約700のありふれたバリアントが身長と関連付けられているが、低頻度のバリアントや希少なバリアントが果たす役割については、系統的な評価は行われていなかった。今回GIANTコンソーシアムのG Lettre、J Hirschhornたちは、71万1418人のゲノムのコード領域を解析し、身長に関連する計120の座位を発見したことを報告している。このうち32は希少なコーディングバリアント、51は低頻度のコーディングバリアントで、これら83の身長関連バリアントからは、成長に関連する新たな候補遺伝子や候補経路、成長障害に関わることが知られている生物学的経路が明らかになった。これらの解析結果は、ヒトの身長に関するゲノム構造を知る手掛かりになる。



参考文献:
Marouli E. et al.(2017): Rare and low-frequency coding variants alter human adult height. Nature, 543, 7640, 186–190.
http://dx.doi.org/10.1038/nature21039

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