大河ドラマ『おんな城主 直虎』第17回「消された種子島」

 中野直之は鉄炮を取り寄せ、直虎(次郎法師)の前で実演してみせます。鉄炮の威力に驚いた直虎は、鍛冶の村である井平で鉄炮を生産しようと考えます。それにしても、東海道の国人衆の家に生まれた直虎が永禄年間になっても鉄炮を知らなかったとは考えにくいのですが・・・。どうも、戦国時代の社会状況を取り入れて、視聴者に物語のなかの「自然な流れ」で伝えようとするあまり、直虎を必要以上に無知な存在にしてしまっているのではないか、と思います。主人公を美化するだけなのも問題ですが、やたらと主人公を貶めるのも問題でしょう。

 龍潭寺では虎松(井伊直政)が手習いを始めていました。家臣の息子たちは五目並べで虎松に気を遣って手加減していましたが、それを知った直虎は、手加減しないよう注意します。すると、虎松は五目並べをはじめとして何をやっても勝てなくなり、龍潭寺に来なくなってしまいます。母親の悪いところを引き継いだというか、母親である「しの」のこれまでの教育が悪かった、と言いたいような設定に思えてしまいます。直虎が虎松を叱責すると、虎松は泣いてしまいます。直虎は旅人らしき男性の教示を受けて、虎松に勝つ喜びを教えさせようとします。直虎は虎松に五目並べを教え込み、虎松に再び気力を取り戻させることに成功します。

 今回は、これまで空気だった虎松が中心になって話が進みました。虎松は重要人物なので、そろそろ掘り下げて描いてもらいたかったところだけに、これでよかったと思います。ただ今回は、上述しましたが、鉄炮に関する話がどうも引っかかります。永禄年間の東海道において、鉄炮の生産が謀反とみなされるのには無理があるというか、そもそも井伊家中がこの時点で鉄炮のことを不自然なまでに知らないように思えます。戦国時代の社会状況を取り入れた物語にしようという意欲はよいと思うのですが、前回といい今回といい、やや滑っている感が否めません。それでも、直虎と小野政次(鶴丸)の関係の推移と結末を楽しみに視聴を続けられそうですが。

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