ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』618話~620話

618話「コンピュータ計画」5
 今回は2時間スペシャルとなります。今回のメインゲストは水木刑事で、この後間もなく、マイコン刑事として一係に赴任することになります。若手刑事がレギュラーとなる前にテスト出演することは本作の定番となっていますが、同一人物だったことはありません。レギュラーとして起用される前に同一人物で出演していたとなると、早瀬婦警だったマミーも同様ですが、マミーの場合は、早くてもロッキーとの結婚あたりまでは、レギュラーとしての起用は考えられていなかったように思います。その意味で、マイコンは異例の起用だったと思います。話の方はすっかり忘れていましたが、当初は犯人の目的が謎めいていたところは楽しめました。しかし、全体的には、水木刑事の人物造形がさほど魅力的ではなかったこともあり、いまいちでした。今回は当時の技術とその認知度が窺えて興味深く、やはり本作の映像資料としての価値は高い、と改めて思ったものです。今となっては、というか20世紀末の時点では懐かしい死語扱い(だったと思います)のマイコンを21世紀になって改めて聞くと、気恥ずかしさのようなものもあります。


619話「犯人の顔」5
 久しぶりのラガー主演作となります。ある女性が襲われて気絶し、部屋に隠していた300万円が盗まれます。女性は、300万円を部屋に隠していたことを二人の友達に話していましたが、自分を襲った犯人は友達ではない、と証言します。一係は、この二人の友達のどちらかが共犯者ではないか、と疑います。容疑者二人の交友関係は広く浅いので、捜査は難航します。そんな中で同様の事件が発生し、襲われた老人が殺されます。ラガーは、偶然隣の部屋から電話での話し声が聞こえてきたことから、被害者の隣の男性が犯人ではないか、と推理します。謎解き要素と都会の希薄な人間関係が軸となり、まずまず楽しめましたが、盛り上がりに欠けた感は否めません。


620話「素晴らしき人生」10
 歩道橋で衆人環視のなか男性が刺されて死亡し、犯人の男性は逃走します。ところが、犯人は翌日自首します。犯人は、肩が触れて揉めたのが動機だと自白します。山さんは、犯人は真の動機を隠しているのではないか、と疑います。山さんは、犯人が世話になったレストランの店長から話を聞き、この店長と犯人との間に何かあるのではないか、と推理します。しかし、犯人はなかなか自白せず、捜査は難航します。山さんは粘り強く捜査を進め、レストランの店長と犯人との間に何かが隠されている、と確信します。けっきょく、レストランの店長は娘の治療費のための殺人を犯人の男性に目撃されたと思い、犯人の男性が偶然レストランを訪れたことから疑心暗鬼になり、犯人の男性に親身になった結果、犯人の男性は更正した、という真相が明らかになります。殺された男性は、レストランの店長の娘の治療のために薬を横流しし、そのことでレストランの店長を強請っていました。それを見た犯人の男性は、世話になったレストランの店長のために男性を殺した、というわけです。何とも苦い真相でしたが、自嘲する犯人の男性を、更生してからの6年間は素晴らしかったではないか、と山さんは諭します。謎解きの要素もなかなか面白かったのですが、偶然が紡いだ人間模様は上手く構成されているな、と感心しました。このような大人向けの作品もあったことが、本作の長寿放送を可能とした一因なのでしょう。

この記事へのコメント

いち
2017年03月21日 21:40
こんばんは。「コンピュータ計画」は石原良純氏の異例のテスト出演だったのでしょうね。
話が脱線して申し訳ありませんが、良純氏は現在豊洲市場問題における渦中人物のご子息。百条委員会に出席した父親の姿を見た良純氏の心境はいかに?個人的にそんなことを考えております。
2017年03月22日 18:57
政治家の道を歩まなかったので、兄や弟とは、また違う心境かもしれませんね。息子として、父のことが心配なのは変わらないでしょうが。

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