『カラー図解 進化の教科書 第2巻 進化の理論』
これは3月19日分の記事として掲載しておきます。カール=ジンマー(Carl Zimmer)、ダグラス=エムレン(Douglas J. Emlen)著、更科功・石川牧子・国友良樹訳で、講談社ブルーバックスの一冊として、2017年1月に講談社より刊行されました。原書の刊行は2013年です。第1巻については、すでにこのブログで取り上げています(関連記事)。第2巻はとくに淘汰を重点的に解説しており、第5章「進化のメカニズム─遺伝的浮動と自然淘汰」・第6章「量的遺伝学と表現型の進化」・第7章「自然淘汰」・第8章「性淘汰」という構成になっています。
第2巻も、具体的な事例を豊富に引用しつつ、進化の基本的な仕組みを的確に解説しており、私のように、進化についてある程度以上関心のある門外漢にとって、たいへん優れた入門書になっていると思います。ボトルネック(瓶首効果)と創始者効果については、ある程度以上理解しているつもりでしたが、本書のような的確で簡潔な解説は自分にはとてもできず、これまでの理解に曖昧なところが多分にあったのだな、と思い知らされました。ボトルネックと創始者効果に限らず、第2巻の内容も人類の進化を理解するうえで重要なものばかりであり、当然のことではありますが、人類の進化を進化学全体の知見のなかで把握しなければならない、との思いを改めて強くしました。
第2巻も、進化の具体的な事例の一部として人類が取り上げられており、門外漢の読者の関心を惹くような構成になっていて、一般向け書籍としての工夫が感じられます。第2巻では、近親交配の具体的な事例としてハプスブルク家が取り上げられていますが、古代日本の支配層など他の事例についても、興味深い結果が得られそうです。定番と言ってもよいだろう、現代人の乳糖耐性の進化に関する解説も興味深いものでした。人類の活動が淘汰に大きな影響を及ぼしていることについても、本書の的確な解説で理解がずっと深まったように思われ、有益でした。農薬とその抵抗性の進化への対策として農薬を用いない「避難所」を一部作ることが取り上げられており、興味深い実例でした。性淘汰にも1章割かれており、有性生殖の生物である人類の進化についても、性淘汰は重要な観点となるだろう、と改めて思ったものです。
参考文献:
Zimmer C, and Emlen DJ.著(2017)、更科功・石川牧子・国友良樹訳『カラー図解 進化の教科書 第2巻 進化の理論』(講談社、原書の刊行は2013年)
第2巻も、具体的な事例を豊富に引用しつつ、進化の基本的な仕組みを的確に解説しており、私のように、進化についてある程度以上関心のある門外漢にとって、たいへん優れた入門書になっていると思います。ボトルネック(瓶首効果)と創始者効果については、ある程度以上理解しているつもりでしたが、本書のような的確で簡潔な解説は自分にはとてもできず、これまでの理解に曖昧なところが多分にあったのだな、と思い知らされました。ボトルネックと創始者効果に限らず、第2巻の内容も人類の進化を理解するうえで重要なものばかりであり、当然のことではありますが、人類の進化を進化学全体の知見のなかで把握しなければならない、との思いを改めて強くしました。
第2巻も、進化の具体的な事例の一部として人類が取り上げられており、門外漢の読者の関心を惹くような構成になっていて、一般向け書籍としての工夫が感じられます。第2巻では、近親交配の具体的な事例としてハプスブルク家が取り上げられていますが、古代日本の支配層など他の事例についても、興味深い結果が得られそうです。定番と言ってもよいだろう、現代人の乳糖耐性の進化に関する解説も興味深いものでした。人類の活動が淘汰に大きな影響を及ぼしていることについても、本書の的確な解説で理解がずっと深まったように思われ、有益でした。農薬とその抵抗性の進化への対策として農薬を用いない「避難所」を一部作ることが取り上げられており、興味深い実例でした。性淘汰にも1章割かれており、有性生殖の生物である人類の進化についても、性淘汰は重要な観点となるだろう、と改めて思ったものです。
参考文献:
Zimmer C, and Emlen DJ.著(2017)、更科功・石川牧子・国友良樹訳『カラー図解 進化の教科書 第2巻 進化の理論』(講談社、原書の刊行は2013年)
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