最古の新口動物

 これは3月17日分の記事として掲載しておきます。最古の新口動物に関する研究(Han et al., 2017)が公表されました。新口動物には脊椎動物・ヒトデ類・ギボシムシ類・被嚢動物などさまざまな異なる生物が含まれています。このように多種多様であり、形態上の中間的生物が現存していないため、初期の新口動物がどのようなものであったか、解明は困難です。この研究は、中国の陝西省で発見された、カンブリア紀最初期の微小な化石群を報告しています。この化石群は袋状の体を持っている一方で肛門を持っておらず、その原始的な特徴から、既知の新口動物類の中で最も基部に位置する、と推測されています。この新口動物は「Saccorhytus coronarius」と命名され、小さな水底の無脊椎動物だった、と考えられています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


進化学:中国陝西省のカンブリア系基底部に由来するメイオファウナ新口動物

Cover Story:化石の証拠:知られている限り最古の新口動物が見つかり、系統樹の根が広がった

 表紙は、今回発見されたカンブリア紀最初期にさかのぼる新口動物であるSaccorhytus coronariusを再現したものである。新口動物には、脊椎動物、ヒトデ類、ギボシムシ類、被嚢動物などさまざまな異なる生物が含まれる。このように多種多様であり、形態上の中間的生物が現存していないため、初期の新口動物がどのようなものであったかを解明するのは困難である。今回、S Morrisたちが中国で発見した微小な化石群から、袋状の体を持ち肛門を持たない生物が明らかになった。これらの標本に見られる原始的な特徴から、著者たちは、Saccorhytusは既知の新口動物類の中で最も基部に位置すると解釈し、その最初期の歴史がメイオファウナの中にあったと示唆している。



参考文献:
Han J. et al.(2017): Meiofaunal deuterostomes from the basal Cambrian of Shaanxi (China). Nature, 542, 7640, 228–231.
http://dx.doi.org/10.1038/nature21072

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