初期の四肢動物の化石空白期間
初期の四肢動物(最初の4本足の脊椎動物)の化石空白期間に関する研究(Clack et al., 2017)が公表されました。3億5800万年前頃となる後期デボン紀の大量絶滅以前の四肢動物は、指が多く、かなり魚類に似たものでした。ローマーの空白として知られるその時期以後の化石は指の数が減り、現在の陸生脊椎動物に姿が近づいています。化石記録に外見上の空白がある理由は明らかにされていませんが、酸素レベルの低さが四肢動物の数および多様性を制限していた、と示唆されています。
この研究は、後期デボン紀の大量絶滅から数百万年後に生まれたトルネーシアン期の多様な5新種を、別の7分類群の断片とともに報告しています。そのうち2種は初期の両生類として同定され、3種は近縁度の低い初期的四肢動物とされました。これは、両生類と有羊膜類(爬虫類・鳥類・哺乳類)との分岐が古く、後期デボン紀の大量絶滅後に両生類と有羊膜類が短期間で分岐したことを示唆しています。また、化石化した木炭からの酸素レベルを調べたところ、大気中酸素量の減少があったという説は否定されました。このことから、四肢動物進化の初期段階において、種の数と多様性が厳しい低酸素環境に制限されることなく早くから増加していた、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
四肢動物化石の空白を埋める
初期の四肢動物 、つまり 最初の4本足の脊椎動物は、3億5800万年前、後期デボン紀の大量絶滅後に急速に多様化し、両生類の祖先、ならびに爬虫類、鳥類、および哺乳類の祖先、という2群に短期間で分岐した。今週オンライン掲載される新しい研究論文は、四肢動物の化石記録の2500万年にわたる空白を埋めるのに役立つスコットランドの化石を紹介している。その空白は、四肢動物の進化の中で、知られていることがほとんどない重要な時期である。
大量絶滅以前の後期デボン紀の四肢動物は、指が多く、かなり魚類に似たものであった。ローマーの空白として知られるその時期以後の化石は指の数が減り、現在の陸生脊椎動物に姿が近づいている。化石記録に外見上の空白がある理由は明らかにされていないが、酸素レベルの低さが四肢動物の数および多様性を制限していたことが示唆されている。
今回の研究で、Jennifer Clackたちは、大量絶滅からわずか数百万年後に生まれたトルネーシアン期の5つの多様な新種を、別の7分類群の断片とともに記載している。そのうち2種は初期の両生類として同定され、3種は近縁度の低い初期的四肢動物とされた。それは、両生類と有羊膜類(爬虫類、鳥類、および哺乳類)との分岐が古かったことを示唆している。また、化石化した木炭に着目して酸素レベルを調べ、大気中酸素量の減少があったという説を否定した。
研究チームは、化石記録の空白を埋めることによって、四肢動物進化の極めて重要な初期段階に関する洞察が得られ、種の数および多様性が、厳しい低酸素環境に制限されることなく、早くから増していたことが分かった、と述べている。
参考文献:
Clack JA. et al.(2016): Phylogenetic and environmental context of a Tournaisian tetrapod fauna. Nature Ecology & Evolution, 1, 0002.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-016-0002
この研究は、後期デボン紀の大量絶滅から数百万年後に生まれたトルネーシアン期の多様な5新種を、別の7分類群の断片とともに報告しています。そのうち2種は初期の両生類として同定され、3種は近縁度の低い初期的四肢動物とされました。これは、両生類と有羊膜類(爬虫類・鳥類・哺乳類)との分岐が古く、後期デボン紀の大量絶滅後に両生類と有羊膜類が短期間で分岐したことを示唆しています。また、化石化した木炭からの酸素レベルを調べたところ、大気中酸素量の減少があったという説は否定されました。このことから、四肢動物進化の初期段階において、種の数と多様性が厳しい低酸素環境に制限されることなく早くから増加していた、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
四肢動物化石の空白を埋める
初期の四肢動物 、つまり 最初の4本足の脊椎動物は、3億5800万年前、後期デボン紀の大量絶滅後に急速に多様化し、両生類の祖先、ならびに爬虫類、鳥類、および哺乳類の祖先、という2群に短期間で分岐した。今週オンライン掲載される新しい研究論文は、四肢動物の化石記録の2500万年にわたる空白を埋めるのに役立つスコットランドの化石を紹介している。その空白は、四肢動物の進化の中で、知られていることがほとんどない重要な時期である。
大量絶滅以前の後期デボン紀の四肢動物は、指が多く、かなり魚類に似たものであった。ローマーの空白として知られるその時期以後の化石は指の数が減り、現在の陸生脊椎動物に姿が近づいている。化石記録に外見上の空白がある理由は明らかにされていないが、酸素レベルの低さが四肢動物の数および多様性を制限していたことが示唆されている。
今回の研究で、Jennifer Clackたちは、大量絶滅からわずか数百万年後に生まれたトルネーシアン期の5つの多様な新種を、別の7分類群の断片とともに記載している。そのうち2種は初期の両生類として同定され、3種は近縁度の低い初期的四肢動物とされた。それは、両生類と有羊膜類(爬虫類、鳥類、および哺乳類)との分岐が古かったことを示唆している。また、化石化した木炭に着目して酸素レベルを調べ、大気中酸素量の減少があったという説を否定した。
研究チームは、化石記録の空白を埋めることによって、四肢動物進化の極めて重要な初期段階に関する洞察が得られ、種の数および多様性が、厳しい低酸素環境に制限されることなく、早くから増していたことが分かった、と述べている。
参考文献:
Clack JA. et al.(2016): Phylogenetic and environmental context of a Tournaisian tetrapod fauna. Nature Ecology & Evolution, 1, 0002.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-016-0002
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