大河ドラマ『真田丸』全体的な感想
本作は、放送開始前から大きな期待が寄せられていたように思います。近年、大河ドラマの視聴率が低迷するなか、人気の高そうな真田ものが大河ドラマの視聴率を回復させるのではないか、と制作者側のみならず、少なからぬ視聴者も期待していたのではないか、と思います。近年の日本社会において、本作の主人公の真田信繁(幸村)は歴史上の人物では人気上位を争うでしょうし、武田家の滅亡直前(本能寺の変の直前でもあります)から豊臣政権と関ヶ原の戦いを経て大坂の陣までは、とくに人気の高い時代だと思います。視聴率を取りやすいとされる三傑のうち、織田信長は序盤だけの登場でしたが、豊臣秀吉・徳川家康は重要人物として描かれました。主演の堺雅人氏は、近年では異例の高視聴率ドラマにも主演していました。
おそらくは制作者側が強く意識して、高視聴率を取れる要素をそろえてきた感のある本作ですが、視聴率という観点からは、期待外れと言えそうです。おそらく制作者側は、平均視聴率20%前後を狙っていたのではないかと思いますが、平均視聴率は17%を下回り16.6%でした。これは、近年の戦国時代を舞台とした大河ドラマと比較すると、2014年放送の『軍師官兵衛』の15.8%を上回ったものの、2011年放送の『江~姫たちの戦国~』の17.7%を下回りました。序盤の視聴率の推移から、『軍師官兵衛』以上『江~姫たちの戦国~』以下になりそうだな、と予想していたのですが、その通りの結果となりました。大河ドラマで低視聴率が続けば、大河ドラマ不要論がNHK内でも検討されるようになるかもしれないので、その意味では、本作の視聴率が16.6%に終わったのは残念でした。
おそらく、本作の平均視聴率は放送開始前の(制作者側や関心のある視聴者層の多くの)期待値ほどではなかったでしょうが、だからといって低水準だったとか、質が低かったとかいうことはなく、過去10年では2012年放送の『平清盛』と2007年放送の『風林火山』に次いで楽しめました。本作の最大の魅力は人物造形で、真田昌幸など主要人物だけではなく、登場場面の少ない人物の多くもしっかりとキャラ設定されており、見せ場が用意されていました。個人的には、石川数正と清韓がとくに強く印象に残りました。主要人物では、やはり昌幸と徳川家康が期待通りの存在感を示してくれました。
ただ、昌幸が序盤の実質的な主人公とも言えそうな分、主人公の存在感が後半まで薄くなってしまった感は否めません。これは、信繁を主人公としたことから、放送開始前より少なからぬ人が懸念していたことでしょうが、大坂の陣の前まで、信繁には大きな実績がなく、その動向にも不明なところが少なくないので、仕方のないところでしょう。それでも本作は、あくまでも信繁を主人公とし、その視点で話を進めていったように思いますが、その分、主人公の功績横取り・美化・著名人との絡みの(おそらくは)実態以上の増加といった、近年の大河ドラマの主人公にたいするネットでの「大きな声の批判」がかなりのところ当てはまってしまった感は否めません。とはいえ、信繁を主人公とした物語とする以上、かなりのところ仕方がないとは思います。
娯楽ドラマとしては、深刻な場面と喜劇調の場面とをなかなか上手く混ぜてきて、視聴者を飽きさせないような工夫がなされていたと思います。深い主題が作品全体を貫いていた、というわけではないと思いますが、娯楽ドラマとしてはこれでよいのではないでしょうか。歴史ドラマとしては、近年の研究成果もよく取り入れつつ、中世から近世への移行期がなかなかよく感じられるようになっていた、と思います。中世~近世移行期にはまっていた十数年前ならば、もっと色々と調べてさらに楽しめたのでしょうが、今は中世~近世移行期の優先順位が下がってしまったので、感想はここまでにしておきます。
おそらくは制作者側が強く意識して、高視聴率を取れる要素をそろえてきた感のある本作ですが、視聴率という観点からは、期待外れと言えそうです。おそらく制作者側は、平均視聴率20%前後を狙っていたのではないかと思いますが、平均視聴率は17%を下回り16.6%でした。これは、近年の戦国時代を舞台とした大河ドラマと比較すると、2014年放送の『軍師官兵衛』の15.8%を上回ったものの、2011年放送の『江~姫たちの戦国~』の17.7%を下回りました。序盤の視聴率の推移から、『軍師官兵衛』以上『江~姫たちの戦国~』以下になりそうだな、と予想していたのですが、その通りの結果となりました。大河ドラマで低視聴率が続けば、大河ドラマ不要論がNHK内でも検討されるようになるかもしれないので、その意味では、本作の視聴率が16.6%に終わったのは残念でした。
おそらく、本作の平均視聴率は放送開始前の(制作者側や関心のある視聴者層の多くの)期待値ほどではなかったでしょうが、だからといって低水準だったとか、質が低かったとかいうことはなく、過去10年では2012年放送の『平清盛』と2007年放送の『風林火山』に次いで楽しめました。本作の最大の魅力は人物造形で、真田昌幸など主要人物だけではなく、登場場面の少ない人物の多くもしっかりとキャラ設定されており、見せ場が用意されていました。個人的には、石川数正と清韓がとくに強く印象に残りました。主要人物では、やはり昌幸と徳川家康が期待通りの存在感を示してくれました。
ただ、昌幸が序盤の実質的な主人公とも言えそうな分、主人公の存在感が後半まで薄くなってしまった感は否めません。これは、信繁を主人公としたことから、放送開始前より少なからぬ人が懸念していたことでしょうが、大坂の陣の前まで、信繁には大きな実績がなく、その動向にも不明なところが少なくないので、仕方のないところでしょう。それでも本作は、あくまでも信繁を主人公とし、その視点で話を進めていったように思いますが、その分、主人公の功績横取り・美化・著名人との絡みの(おそらくは)実態以上の増加といった、近年の大河ドラマの主人公にたいするネットでの「大きな声の批判」がかなりのところ当てはまってしまった感は否めません。とはいえ、信繁を主人公とした物語とする以上、かなりのところ仕方がないとは思います。
娯楽ドラマとしては、深刻な場面と喜劇調の場面とをなかなか上手く混ぜてきて、視聴者を飽きさせないような工夫がなされていたと思います。深い主題が作品全体を貫いていた、というわけではないと思いますが、娯楽ドラマとしてはこれでよいのではないでしょうか。歴史ドラマとしては、近年の研究成果もよく取り入れつつ、中世から近世への移行期がなかなかよく感じられるようになっていた、と思います。中世~近世移行期にはまっていた十数年前ならば、もっと色々と調べてさらに楽しめたのでしょうが、今は中世~近世移行期の優先順位が下がってしまったので、感想はここまでにしておきます。
この記事へのコメント
最初に三谷氏が述べていたように初めから英雄視されてはつまらないから、決して大きな勢力ではない一地方の真田家という家に生まれた次男坊の目を通していたからこそ、主人公ご都合主義に陥る訳では決してなく、でも重要な局面局面にはしっかりと信繁がそこにいてそれらの出来事を目撃していたお蔭で、私達も上田での日々や大阪城での出来事や合戦が今この瞬間に起こっている事柄のような錯覚を覚えたのだと感じます。周りの名脇役達が光っていたのは無論素晴らしかったですが、堺さんの最後の十数話までの地味で抑えた受けの尚且つ実直な演技でずっと引っ張って引っ張って、終盤大阪の陣で一気にそれが爆発した、何よりその事が真田丸を近年稀に見る大河史上傑作・名作の域に押し上げた功績の1つだった、私はそう信じて止みません。
本作は、ネットではかなり盛り上がったように思います。熱心な視聴者は、近年の作品よりも多かったかもしれませんね。