ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』574話~577話

574話「冒険の海」6
 七曲署管内で盗まれた自動車が神奈川県で発見され、神奈川県警が追跡中、盗難車は道路から海に落ち、運転していた男性は死亡します。その盗難車からは金塊強盗に使われた拳銃が発見されましたが、金塊は発見されませんでした。ドックは、盗難車の引き上げに協力したダイバーに、再度金塊探索を依頼し、二人は意気投合します。捜査が進むと、金塊がダイヤモンドに換えられていた可能性が高いと分かります。ダイバーは、盗難車の引き上げのさいに海底でダイヤモンドを見つけており、それに気づいた犯人たちは、ドックとともに金塊を探索中のダイバーを殺そうとします。ドックはダイバーにダイヤモンドを警察に渡すよう説得しますが、ダイバーは、海底で見つけたものは自分のものだと言って拒否します。犯人たちはダイバーの妻を拉致し、ダイヤモンドを渡すよう要求しますが、ドックは密かに取引の場に近づき、犯人たちを逮捕します。ダイバーを演じたのは渡辺謙氏で、さすがに演技の方は現在と比較して未熟なところがあるものの、ゲストの若手俳優として存在感を示していたと思います。ブルースが舟で逃げる犯人たちを撃った場面は、ブルースが明らかにジーパンを意識した人物造形になっていることからも、72話「海を撃て!!ジーパン」でのジーパンの射撃(関連記事)を脚本家と監督が意識していたのではないか、と推測されます。渡辺謙氏がメインゲストでブルースのアクションシーンにも見どころがありましたが、話自体は全体的に平板だったように思います。


575話「向い風」3
 マミーの娘が、近所の子供とともに行方不明になります。ブルースが二人を公園で発見し、二人とも帰宅します。二人とも行方不明の間に食べ過ぎてしまい、体調を崩します。一係は誰が二人と一緒にいたのか、捜査を続けますが、今度はマミーの息子と近所の別の子供が行方不明になります。今度はすぐに二人とも公園で見つかりますが、やはり多めに食べていたことが分かります。刑事の子供ということで誘拐されたのではないか、と近所の人々は噂し、マミー一家は孤立していきます。捜査は難航しますが、目撃者の一人である高校生の証言に不審な点があったことから、高校生が部屋に子供たちを連れ込んで食べ物を与えていたことが明らかになります。高校生は母親に抑圧されて育ち、母親の言いつけ通りに勉学に励んだのに、母親に捨てられたことから、他の子供には自由にさせたい、というのが犯行動機でした。高校生を演じたのは尾美としのり氏です。マミーが母親だという設定を活かした話なのですが、かなり平板で、犯人の人間像もあまり掘り下げられていませんでしたから、率直に言って外れでした。


576話「刑事・山さん」8
 山さんとブルースは深夜、燃えている女性と遭遇します。その女性は、自分の自動車から抜き取られたガソリンで焼死しました。その女性は手袋をつけていないのに、タンクには指紋がなかったので、自殺ではなく他殺だと山さんは判断します。さらに、その女性は妊娠していることが分かり、相手の男性が犯人だと一係は推理します。有力容疑者が三人浮上し、山さんは婚約者のいる医大研究生が怪しい、と判断します。ブルースは医大研究生を執拗に追いかけ、医大研究生は逃亡中に自動車に撥ねられて死亡しますが、死の間際に、自分は犯人ではない、と言います。医大研究生の日記にも、自分は犯人ではない、と書かれていました。ブルースと山さんは、無実の人間を追い詰めたとして、苦しい立場に追い込まれます。ブルースは医大研究生の無実を確信し、一人で別の男性を追い、その男性を負傷させてしまいます。山さんは、連絡もせず一人で強引に容疑者を追い詰めたブルースを殴ります。山さんはなおも医大研究生を調べ続け、医大研究生は空想虚言症であり、やはり医大研究生が犯人だと推理します。山さんの執念の捜査により、医大研究生が犯人の可能性が高いと明らかになります。今回は山さんとブルースの二人が主演といった感じで、ベテラン刑事による新人刑事の教育という、本作の王道的な話になっています。この時期の話は少なくとも一度は視聴しているはずなのですが、内容はほとんど覚えていません。しかし今回は、医大研究生が空想虚言症の犯人だったことをよく覚えていました。それだけ印象に残った設定だった、ということなのでしょう。


577話「探偵ゲーム」6
 ボギーが派出所にいたところ、誰かに追われている、と訴える女子大生が駆け込んできます。ボギーはその女子大生がある大学の探偵クラブに尾行されていたことを突き止めます。その探偵クラブの報告書からは、女子大生が真面目な生活を送っていることが窺えました。ところがその女子大生は、自分の真の姿は違う、と一係に通報します。その晩、ある男性が殺害されます。尾行されていた女子大生が殺害犯と自首してきますが、その証言は出鱈目でした。犯人は誰なのか、女子大生の真意はどこにあるのか、謎めいた展開になるのかと期待しましたが、優等生を演じ続けて報告書により自分がつまらない人間だと思い知らされたことへの反発と、暴力団内の抗争が真相で、やや陳腐だった感は否めません。メインゲストが大場久美子氏なのは、ボギー主演回の535話「ボギーのいちばん長い日」でのボギーとの共演(関連記事)が好評だったからでしょうか。美木良介氏が派出所の警官役で出演していたことも注目されます。

この記事へのコメント

いち
2016年10月12日 22:45
こんばんは。「刑事・山さん」の冒頭部分は、地味な捜査活動を続けたわりに報われなかったと嘆くブルースと、それをなだめる山さんが署へ戻るところ。さかのぼること109話「俺の血をとれ!」の冒頭部分でも似たようなやり取りがあり、その時の若手刑事はブルースでなくジーパンでした。改めてブルースとジーパンはよく似てるなあと認識しました。
2016年10月13日 20:03
そう言えばそうでしたね。やはり、ブルースはジーパンを意識したキャラになっていますね。

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