6000年間ほとんど遺伝的に変わっていないオオムギ
オオムギのDNA解析を報告した論文2本が公表されました。一方の研究(Mascher et al., 2016)は、イスラエルの死海近くにある古代の要塞「マサダ」に位置する探査の難しい砂漠の洞窟で6000年前のオオムギ粒を発掘しました。この地域の気候は乾燥しているので、このオオムギのDNA解析に成功しました。もう一方の研究(Russell et al., 2016)は、世界中で260以上のオオムギ種の植物を収集し、そのDNAを解析しました。両者の比較により、6000年前のオオムギ粒と最も近縁で、ほとんど変化していないのは現代のイスラエルとヨルダンのオオムギであることが明らかになりました。これは、オオムギがヨルダン渓谷上流域で初めて栽培化され、その後世界中に広がったという仮説を裏づけている、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
過去6,000年間ほとんど変わっていないオオムギ
現代と古代のイスラエルとヨルダンのオオムギのサンプルのDNA塩基配列を調べたところ、過去6,000年間ほとんど変化していないことが分かった。この結果を報告する2編の論文が、今週のオンライン版に掲載される。これは、これまでに重要な穀物であるオオムギに関して実施された遺伝的特性解析の中でも極めて網羅的なものと評することができる。こうしたデータを組み合わせることで、オオムギの栽培化過程と地球上のさまざまな環境に関するオオムギの地域レベルの適応機構が明らかになっている。
Tzion Fahima、Johannes Krause、Ehud Weiss、Nils Steinたちの研究グループは、イスラエルの死海近くにある古代の要塞「マサダ」に位置する探査の難しい砂漠の洞窟で6,000年前のオオムギ粒を発掘した。この地域の乾燥環境は生物学的保存に適していたため、この研究グループは、遺伝物質を分離し、古代のオオムギのDNA塩基配列を解読できた。一方、Robbie Waughたちの研究グループは、世界中で260以上のオオムギ種の植物を収集し、そのDNAの塩基配列を解読した。こうした他に類のない2つのデータセットは解析、比較され、初期農耕民によるオオムギの栽培化の歴史に関する手掛かりが得られた。
これらの研究グループは、過去6,000年間に農法の変化と気候変動の影響があったにもかかわらず、古代のオオムギ粒に最も近縁なのが現代のイスラエルとヨルダンのオオムギだとする見解を示している。この知見は、オオムギがヨルダン渓谷上流域で初めて栽培化され、その後世界中に広がったという仮説を裏付けている。
参考文献:
Mascher M. et al.(2016): Genomic analysis of 6,000-year-old cultivated grain illuminates the domestication history of barley. Nature Genetics, 48, 9, 1089–1093.
http://dx.doi.org/10.1038/ng.3611
Russell J. et al.(2016): Exome sequencing of geographically diverse barley landraces and wild relatives gives insights into environmental adaptation. Nature Genetics, 48, 9, 1024–1030.
http://dx.doi.org/10.1038/ng.3612
過去6,000年間ほとんど変わっていないオオムギ
現代と古代のイスラエルとヨルダンのオオムギのサンプルのDNA塩基配列を調べたところ、過去6,000年間ほとんど変化していないことが分かった。この結果を報告する2編の論文が、今週のオンライン版に掲載される。これは、これまでに重要な穀物であるオオムギに関して実施された遺伝的特性解析の中でも極めて網羅的なものと評することができる。こうしたデータを組み合わせることで、オオムギの栽培化過程と地球上のさまざまな環境に関するオオムギの地域レベルの適応機構が明らかになっている。
Tzion Fahima、Johannes Krause、Ehud Weiss、Nils Steinたちの研究グループは、イスラエルの死海近くにある古代の要塞「マサダ」に位置する探査の難しい砂漠の洞窟で6,000年前のオオムギ粒を発掘した。この地域の乾燥環境は生物学的保存に適していたため、この研究グループは、遺伝物質を分離し、古代のオオムギのDNA塩基配列を解読できた。一方、Robbie Waughたちの研究グループは、世界中で260以上のオオムギ種の植物を収集し、そのDNAの塩基配列を解読した。こうした他に類のない2つのデータセットは解析、比較され、初期農耕民によるオオムギの栽培化の歴史に関する手掛かりが得られた。
これらの研究グループは、過去6,000年間に農法の変化と気候変動の影響があったにもかかわらず、古代のオオムギ粒に最も近縁なのが現代のイスラエルとヨルダンのオオムギだとする見解を示している。この知見は、オオムギがヨルダン渓谷上流域で初めて栽培化され、その後世界中に広がったという仮説を裏付けている。
参考文献:
Mascher M. et al.(2016): Genomic analysis of 6,000-year-old cultivated grain illuminates the domestication history of barley. Nature Genetics, 48, 9, 1089–1093.
http://dx.doi.org/10.1038/ng.3611
Russell J. et al.(2016): Exome sequencing of geographically diverse barley landraces and wild relatives gives insights into environmental adaptation. Nature Genetics, 48, 9, 1024–1030.
http://dx.doi.org/10.1038/ng.3612
この記事へのコメント