ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』544話~547話

544話「屈辱」9
 この時期の話は少なくとも一度は視聴しているはずなのですが、内容はほとんど覚えていません。しかし今回は、ボギーが空手使いの犯人に一方的にやられた屈辱と、その犯人が受けてきた屈辱という対比で話が進み、ボギーが吉野から空手を教わって一発逆転に賭けた、という展開と、犯人とボギーを追跡していたドックとラガーの自動車がガス欠になり、ドックがラガーに文句を言っていたことは覚えていました。それだけ、少年時代の私には印象に残る話だった、ということなのでしょうか。佐々木功氏に西岡徳馬氏とゲストがなかなか豪華で、西岡氏の演技は、ボギーとの対決での迫力のあるアクションシーンが印象に残ります。


545話「さらば!ジプシー」7
 今回で原昌之が退場となります。他の警察署の一係に転勤という形での退場は、スコッチ(第一期での出演)以来となります。原はキャラ的にもじっさいの登場順もスコッチの後継者的な役割を担っていたところがあるだけに、制作側はそれも多少意識していたのでしょうか。まあ、原を演じる三田村邦彦氏が多忙だったためか、あまりキャラを掘り下げることができなかった感は否めず、やや中途半端に終わってしまったのは残念でした。原はこの後1回だけ再登場しますが、転勤という形で退場したのですから、せめてもう1回くらい登場してもらいたかったものです。話の方は、小松方正氏がメインゲストだったことも含めてほとんど忘れていましたが、ドックと原の「はないちもんめ」のやり取りと、最後にドック・ラガー・ボギーの若手組が自動車で派手に原を送る場面はよく覚えていました。原の生い立ちと絡めて話を進めるところはなかなか上手いな、と思います。殉職ではなく転勤とはいえ、やはりレギュラー刑事の退場は寂しいものです。


546話「マミー刑事登場!」2
 個人的には『太陽にほえろ!』史上最も切ない話で、本放送時は見ていて居たたまれなくなりました。やや大げさな表現になりますが、再視聴するのに気力を奮い立たせる必要がありました。その原因は、前回で転勤した原の後任として七曲署一係の刑事として赴任しながら、わずか2日で辞職した谷山美沙の扱いがあまりにも悲惨だと思えたからです。ファミリー劇場HDリマスター版では予告は省略されていますが、確か本放送の予告では、谷山には一切言及されていなかった、と記憶しています。オープニングの映像でも谷山は一切映っていなかった、と記憶していたのですが、今回改めて視聴して、一瞬だけ映っていたことが分かりました。谷山は今回重要な役割を担っており、ごく短期間とはいえ七曲署一係の刑事だったのに、この扱いはあまりにもひどいのではないか、と当時思ったものです。これならば、谷山を赴任させず、夫のロッキーの遺志を継ぐというような話にして、素直に最初から岩城令子を赴任させればよかったと思います。


547話「ドックの恋愛術」6
 あまり期待していなかったのですが、ある女性をめぐる謎めいた展開になっていて、まずまず楽しめました。ただ、オチの方はいまいちというか、もっとひねりがあるのかな、と期待していただけに残念でしたが、苦い結末はなかなかよかったと思います。当時、ストーカーという単語は使われていなかったと記憶していますが、当たり前のこととはいえ、昔からストーカーは存在していたのでした。当時の世相が窺えるのも興味深く、『太陽にほえろ!』の映像資料としての価値の高さを改めて認識しました。本題から外れますが、ボギーとマミーがあまり合わない感じなのは笑えます。この二人の関係の変化も今後の見どころとなりそうです。それにしても、マミーは登場当初の初々しさが失われてしまったなあ、とつくづく思います。

この記事へのコメント

いち
2016年06月15日 19:49
こんばんは。「さらば!○○」は3作ありますが、スコッチは愛想のない終わり方でした。スニーカーは妹への悲しみが残りました。ジプシーは新たな再出発という意味合いが強く仲間が笑顔で送るところは、3作の中で一番晴れ晴れとした気持ちになれました。
2016年06月15日 20:11
3作のなかでは一番前向きな感はありますね。それだけに、1回だけではなくもう何回か再登場してもらいたかったものです。
一係の非常勤
2018年09月22日 20:43
#546『マミー刑事登場!』

番組冒頭転勤したジプシーの後任として一係に谷山美沙(高田早苗)が赴任してくる。
できたら、自分としては、マミーをレギュラーに昇格させず、交通課の婦警のままでいさせ、このせっかくの女性刑事を退職させずに、一係でもっと活躍させる という展開を作れれば、後期の番組ももう少し長続きできたのかな と考えます。

もっと砕けた言い方をすれば、マミーの場合は、一度既婚者になってさらに未亡人になったため、それが枷になって、主役回もそれ限定の暗めのトーンの不幸な話しか作れなくなってしまった。
もし谷山刑事がレギュラーならば、設定的にも独身女性なのだから、もっと自由に人物を動かせたはずだし、主役回の話のバリエーションもいろいろ広げられたのではないだろうか?

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