ギリシアの中期更新世の遺跡

 これは5月19日分の記事として掲載しておきます。2013年にギリシアで発見されたマラサウサ1(Marathousa 1)遺跡についての研究(Panagopoulou et al., 2015)が報道されました。マラサウサ1遺跡では、石器とともに、ほぼ完全な古代ヨーロッパのゾウ(Elephas antiquus)の骨格や、齧歯類・鳥類・両生類・爬虫類・軟体動物・昆虫の遺骸が発見されています。年代についてはまだ幅の広い推定しかなされておらず、中期更新世の60万~30万年前頃とされています。

 マラサウサ1遺跡の石器群は、おもに剥片や石核およびそれらの断片から構成されており、加工されたものは稀でした。石材としては放散虫岩・燧石・石灰岩・石英が用いられています。マラサウサ1遺跡の石器群の技術は比較的単純で、剥片の製作を目的とし、それらは切るために使われていたのではないか、と考えられています。これらの石器を使って、当時の人類はゾウを解体していたのではないか、と推測されています。また、更新世において現在のギリシア地域は、ヨーロッパへの人類の移住の経路の一つであり、寒冷期の待避所だったのではないか、とも指摘されています。


参考文献:
Panagopoulou E. et al.(2015): Marathousa 1: a new Middle Pleistocene archaeological site from Greece. Antiquity, 89, 343,S1–4.
http://antiquity.ac.uk/projgall/panagopoulou343

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