Y染色体の分析から推測される男性人口の激増
これは4月27日分の記事として掲載しておきます。現代人のY染色体から男性の人口史を推測した研究(Poznik et al., 2016)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、世界の26集団の1244人のY染色体を分析しました。その結果、6万ヶ所以上の1塩基の置換や、数千ヶ所の複数の塩基置換や、挿入・欠失や、反復配列などが明らかになりました。こうした分析結果に基づき、Y染色体の系統樹が構築され、各地域の男性の人口史が推定されました。
その推定で注目されるのは、アフリカ・アメリカ・ヨーロッパ・東アジア・南アジアのいずれの地域においても、それぞれ特定の男性系統が短期間に拡大した、ということです。このような現象は、55000~50000年前頃にアジアとヨーロッパで、15000年前頃にはアメリカで見られます。サハラ砂漠以南のアフリカや西ヨーロッパや南アジアや東アジアでは、8000~4000年前頃にも同様の現象が見られます。
このような現象が何に起因するのか、まだ確定したとは言えないのですが、更新世における特定の男性系統の短期間の拡大については、利用可能な資源が豊富な地域へと現生人類(Homo sapiens)が最初に広く進出した結果ではないか、と推測されています。完新世になっての同様の事象については、男性の小集団に管理された技術の発展の結果ではないか、と推測されています。その候補としては、車輪による輸送や金属加工や組織化された戦闘などが挙げられています。
参考文献:
Poznik GD. et al.(2016): Punctuated bursts in human male demography inferred from 1,244 worldwide Y-chromosome sequences. Nature Genetics, 48, 6, 593–599.
http://dx.doi.org/10.1038/ng.3559
その推定で注目されるのは、アフリカ・アメリカ・ヨーロッパ・東アジア・南アジアのいずれの地域においても、それぞれ特定の男性系統が短期間に拡大した、ということです。このような現象は、55000~50000年前頃にアジアとヨーロッパで、15000年前頃にはアメリカで見られます。サハラ砂漠以南のアフリカや西ヨーロッパや南アジアや東アジアでは、8000~4000年前頃にも同様の現象が見られます。
このような現象が何に起因するのか、まだ確定したとは言えないのですが、更新世における特定の男性系統の短期間の拡大については、利用可能な資源が豊富な地域へと現生人類(Homo sapiens)が最初に広く進出した結果ではないか、と推測されています。完新世になっての同様の事象については、男性の小集団に管理された技術の発展の結果ではないか、と推測されています。その候補としては、車輪による輸送や金属加工や組織化された戦闘などが挙げられています。
参考文献:
Poznik GD. et al.(2016): Punctuated bursts in human male demography inferred from 1,244 worldwide Y-chromosome sequences. Nature Genetics, 48, 6, 593–599.
http://dx.doi.org/10.1038/ng.3559
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