ネアンデルタール人と現生人類の共通祖先の復元図
ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との最終共通祖先の復元図についての研究が報道されました。この研究は『人間進化誌』に掲載されるとのことですが、検索したところ、まだオンライン版でも公開されていませんでした。この研究は、3D技術を用いてネアンデルタール人と現生人類の最終共通祖先の頭蓋を仮想復元しています。この復元にさいしては、200万年にわたるホモ属化石の頭蓋が用いられ、797点の指標が定められました。
この研究は、ネアンデルタール人と現生人類とは70万年前頃に分岐した、と推定しています。上記報道では、この推定年代は以前のDNA研究と比較するとさかのぼることになる、とその意義が指摘されています。この研究の主導者の一人であるムニエ(Aurélien Mounier)博士は、ネアンデルタール人と現生人類の最終共通祖先だったホモ属は、最も広い意味でのハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)だったのではないか、と述べています。ハイデルベルゲンシスの定義に関しては色々と議論が展開されているので(関連記事)、「広義のハイデルベルゲンシス」ということなのでしょう。
ネアンデルタール人と現生人類との推定分岐年代に関しては、形態学や遺伝学からさまざまな見解が提示されています。その中には、確かに70万年前頃より新しい年代も少なくなく、たとえばネアンデルタール人と現生人類との(更新世の化石人骨にしては)大規模な頭蓋の比較からは、435000年前もしくは311000年前との推定分岐年代が提示されています(関連記事)。これは7年前の研究ですが、その後、歯の分析では両者の分岐は100万年以上前までさかのぼりそうだ、との見解が提示されています(関連記事)。
今年になって遺伝学の分野では、現生人類の系統とネアンデルタール人およびデニソワ人(種区分未定)の共通祖先系統との推定分岐年代が、765000~550000年前頃になりそうだ、との見解が提示されています(関連記事)。現生人類の系統とネアンデルタール人の系統との分岐年代については、さまざまな観点から複数の見解が提示されていますが、近年では以前の推定分岐年代よりもさかのぼる傾向にあるように思われます。その意味で、この研究の提示する推定分岐年代もさほど意外ではありませんでした。この問題の今後の研究の進展が大いに注目されます。
この研究は、ネアンデルタール人と現生人類とは70万年前頃に分岐した、と推定しています。上記報道では、この推定年代は以前のDNA研究と比較するとさかのぼることになる、とその意義が指摘されています。この研究の主導者の一人であるムニエ(Aurélien Mounier)博士は、ネアンデルタール人と現生人類の最終共通祖先だったホモ属は、最も広い意味でのハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)だったのではないか、と述べています。ハイデルベルゲンシスの定義に関しては色々と議論が展開されているので(関連記事)、「広義のハイデルベルゲンシス」ということなのでしょう。
ネアンデルタール人と現生人類との推定分岐年代に関しては、形態学や遺伝学からさまざまな見解が提示されています。その中には、確かに70万年前頃より新しい年代も少なくなく、たとえばネアンデルタール人と現生人類との(更新世の化石人骨にしては)大規模な頭蓋の比較からは、435000年前もしくは311000年前との推定分岐年代が提示されています(関連記事)。これは7年前の研究ですが、その後、歯の分析では両者の分岐は100万年以上前までさかのぼりそうだ、との見解が提示されています(関連記事)。
今年になって遺伝学の分野では、現生人類の系統とネアンデルタール人およびデニソワ人(種区分未定)の共通祖先系統との推定分岐年代が、765000~550000年前頃になりそうだ、との見解が提示されています(関連記事)。現生人類の系統とネアンデルタール人の系統との分岐年代については、さまざまな観点から複数の見解が提示されていますが、近年では以前の推定分岐年代よりもさかのぼる傾向にあるように思われます。その意味で、この研究の提示する推定分岐年代もさほど意外ではありませんでした。この問題の今後の研究の進展が大いに注目されます。
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