ニホンヤモリの遺伝子
これは12月21日分の記事として掲載しておきます。ニホンヤモリ(Gekko japonicus)の遺伝子に関する研究(Liu et al., 2015)が公表されました。この研究はニホンヤモリの雄の成体のゲノム全体の塩基配列を解読し、25.5億塩基のゲノム配列を得ましたが、これはゲノム解析された爬虫類のゲノムとしては最大になるそうです。ニホンヤモリには22487個の遺伝子が含まれており、その位置と機能が同定されました。たとえば、βケラチン遺伝子ファミリーのサイズの増大が、接着力を有する剛毛(獲物を捕らえ、滑らかな表面にへばりつくための足指の微細毛)の形成に関係していることを示す証拠が見つかりました。これにより、ニホンヤモリは滑らかな表面をよじ登ることができます。また、尾の再生に関連する遺伝子の進化を調べたところ、生活様式が昼行性から夜行性へ移行することに関連する特異的な遺伝子(オプシン遺伝子)が同定されました。この結果、ニホンヤモリは夜も目が見えるようになりました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【進化】壁をよじ登るニホンヤモリの遺伝子
ニホンヤモリ(Gekko japonicus)のゲノム塩基配列を解読した結果を記述した論文が、今週掲載される。今回の研究では、これまでに塩基配列が解読された爬虫類のゲノムとして最大のニホンヤモリのゲノムが明らかにされ、滑らかな表面をよじ登り、尾を再生させ、夜も目が見えるというニホンヤモリの注目すべき能力に関連した遺伝子が正確に同定された。
今回、Xiaosong Guたちは、ニホンヤモリの雄の成体のゲノム全体の塩基配列を解読し、25.5億塩基のゲノム配列を得た。ここには、22,487個の遺伝子が含まれており、その位置と機能が同定された。そして、βケラチン遺伝子ファミリーのサイズの増大が、接着力を有する剛毛(獲物を捕らえ、滑らかな表面にへばりつくための足指の微細毛)の形成に関係していることを示す証拠が見つかった。また、Guたちは、尾の再生に関連する遺伝子の進化を調べて、ニホンヤモリの生活様式が昼行性から夜行性へ移行することに関連する特異的な遺伝子(オプシン遺伝子)を同定した。
今回の研究結果は、ヤモリの進化史に関する手掛かりとなり、自然界から着想を得た接着剤技術の開発に役立つだけでなく、再生過程の遺伝的基盤の解明に役立つ情報となる可能性もある。
参考文献:
Liu Y. et al.(2015): Gekko japonicus genome reveals evolution of adhesive toe pads and tail regeneration. Nature Communications, 6, 10033.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms10033
【進化】壁をよじ登るニホンヤモリの遺伝子
ニホンヤモリ(Gekko japonicus)のゲノム塩基配列を解読した結果を記述した論文が、今週掲載される。今回の研究では、これまでに塩基配列が解読された爬虫類のゲノムとして最大のニホンヤモリのゲノムが明らかにされ、滑らかな表面をよじ登り、尾を再生させ、夜も目が見えるというニホンヤモリの注目すべき能力に関連した遺伝子が正確に同定された。
今回、Xiaosong Guたちは、ニホンヤモリの雄の成体のゲノム全体の塩基配列を解読し、25.5億塩基のゲノム配列を得た。ここには、22,487個の遺伝子が含まれており、その位置と機能が同定された。そして、βケラチン遺伝子ファミリーのサイズの増大が、接着力を有する剛毛(獲物を捕らえ、滑らかな表面にへばりつくための足指の微細毛)の形成に関係していることを示す証拠が見つかった。また、Guたちは、尾の再生に関連する遺伝子の進化を調べて、ニホンヤモリの生活様式が昼行性から夜行性へ移行することに関連する特異的な遺伝子(オプシン遺伝子)を同定した。
今回の研究結果は、ヤモリの進化史に関する手掛かりとなり、自然界から着想を得た接着剤技術の開発に役立つだけでなく、再生過程の遺伝的基盤の解明に役立つ情報となる可能性もある。
参考文献:
Liu Y. et al.(2015): Gekko japonicus genome reveals evolution of adhesive toe pads and tail regeneration. Nature Communications, 6, 10033.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms10033
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