食物資源とカレドニアガラスの社会的相互作用の関係
これは12月2日分の記事として掲載しておきます。食物資源とカレドニアガラスの社会的相互作用の関係についての研究(Clair et al., 2015)が公表されました。カレドニアガラスは、小枝や大枝などといった道具を使って樹皮の穴を調べ、餌となる昆虫を探すことが知られています。そうした技能は、それを見ていた他のカレドニアガラスへ社会的学習によって伝わると考えられていますが、どの程度の知識が伝達されるのかということは、群れの中での社会的相互関係の構造に依存している可能性が高い、と考えられています。
この研究は高分解能の無線技術を利用し、複数の家族が含まれる群れの中のカレドニアガラスの相互作用を追跡調査して、相互作用の大部分が少数の遺伝学的に近縁な個体間やつがい内で起こることを明らかにしました。これに対して、利用するために道具を必要とする食物源を実験的に導入したところ、ネットワークの全体的な接続性が急速に増し、それまで関わりのなかった個体間の相互作用が急に活発化したことが明らかになりました。
一方、複数の家族が含まれる群れを2つ選び、それらの縄張りの中間点に同じ食物源を導入する実験では、上述したようなネットワークの変化は観察されず、上述の相互作用が非常に局所的なものであることが示唆されました。このように食物源の出現に対応して局所的な社会的ネットワークの接続性が増したことは、文化情報が伝達される機会も増え、道具の使用の拡散が促進される可能性が生じることを示唆している、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
動物学:手に余るほどの餌があると付き合いを広げるカレドニアガラス
カレドニアガラスの社会的相互作用の大半は身近な家族との相互作用だが、それ以外の個体と分かち合える食物資源に関する重要情報があれば、例外的にそれらの個体とも相互作用するという結論を示した論文が掲載される。著者は、カレドニアガラスの社会的ネットワークの動態における変化が文化的形質(例えば、道具の利用)の拡散を促進する可能性があるという考え方も示している。
カレドニアガラスは、道具(例えば、小枝や大枝)を使って樹皮の穴を調べて餌となる昆虫を探すことが知られている。そうした技能は、それを見ていた他のカレドニアガラスへ社会的学習によって伝わると考えられているが、どの程度の知識が伝達されるのかは群れの中での社会的相互関係の構造に依存している可能性が高い。
今回、James St Clairたちは、高分解能の無線技術を利用して、複数の家族が含まれる群れの中のカレドニアガラスの相互作用を追跡調査し、相互作用の大部分が少数の遺伝学的に近縁な個体間やつがい内で起こることを明らかにした。これに対して、利用するために道具を必要とする食物源を実験的に導入したところ、ネットワークの全体的な接続性が急速に増し、それまで関わりのなかった個体間の相互作用が急に活発化した。
一方、複数の家族が含まれる群れを2つ選び、それらの縄張りの中間点に同じ食物源を導入する実験では、上述したようなネットワークの変化は観察されず、上述の相互作用が非常に局所的なものであることが示唆された。このように食物源の出現に対応して局所的な社会的ネットワークの接続性が増したことは、文化情報が伝達される機会も増え、道具の使用の拡散が促進される可能性が生じることを示唆している。
参考文献:
Clair J. et al.(2015): Experimental resource pulses influence social-network dynamics and the potential for information flow in tool-using crows. Nature Communications, 6, 7197.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms8197
この研究は高分解能の無線技術を利用し、複数の家族が含まれる群れの中のカレドニアガラスの相互作用を追跡調査して、相互作用の大部分が少数の遺伝学的に近縁な個体間やつがい内で起こることを明らかにしました。これに対して、利用するために道具を必要とする食物源を実験的に導入したところ、ネットワークの全体的な接続性が急速に増し、それまで関わりのなかった個体間の相互作用が急に活発化したことが明らかになりました。
一方、複数の家族が含まれる群れを2つ選び、それらの縄張りの中間点に同じ食物源を導入する実験では、上述したようなネットワークの変化は観察されず、上述の相互作用が非常に局所的なものであることが示唆されました。このように食物源の出現に対応して局所的な社会的ネットワークの接続性が増したことは、文化情報が伝達される機会も増え、道具の使用の拡散が促進される可能性が生じることを示唆している、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
動物学:手に余るほどの餌があると付き合いを広げるカレドニアガラス
カレドニアガラスの社会的相互作用の大半は身近な家族との相互作用だが、それ以外の個体と分かち合える食物資源に関する重要情報があれば、例外的にそれらの個体とも相互作用するという結論を示した論文が掲載される。著者は、カレドニアガラスの社会的ネットワークの動態における変化が文化的形質(例えば、道具の利用)の拡散を促進する可能性があるという考え方も示している。
カレドニアガラスは、道具(例えば、小枝や大枝)を使って樹皮の穴を調べて餌となる昆虫を探すことが知られている。そうした技能は、それを見ていた他のカレドニアガラスへ社会的学習によって伝わると考えられているが、どの程度の知識が伝達されるのかは群れの中での社会的相互関係の構造に依存している可能性が高い。
今回、James St Clairたちは、高分解能の無線技術を利用して、複数の家族が含まれる群れの中のカレドニアガラスの相互作用を追跡調査し、相互作用の大部分が少数の遺伝学的に近縁な個体間やつがい内で起こることを明らかにした。これに対して、利用するために道具を必要とする食物源を実験的に導入したところ、ネットワークの全体的な接続性が急速に増し、それまで関わりのなかった個体間の相互作用が急に活発化した。
一方、複数の家族が含まれる群れを2つ選び、それらの縄張りの中間点に同じ食物源を導入する実験では、上述したようなネットワークの変化は観察されず、上述の相互作用が非常に局所的なものであることが示唆された。このように食物源の出現に対応して局所的な社会的ネットワークの接続性が増したことは、文化情報が伝達される機会も増え、道具の使用の拡散が促進される可能性が生じることを示唆している。
参考文献:
Clair J. et al.(2015): Experimental resource pulses influence social-network dynamics and the potential for information flow in tool-using crows. Nature Communications, 6, 7197.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms8197
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