ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』492話~495話
492話「傷だらけの勲章」7
強盗殺人事件を捜査していたラガーは、尊敬している元刑事の仲本と再会します。ラガーの父親は殉職したのですが、表彰されたのは殉職した時だけで、父親には複雑な感情を抱いていました。一方、仲本は何度も表彰されていました。強盗殺人事件の捜査の方は意外な展開を見せ、犯人は強盗に見せかけただけで被害者を殺すことが目的だったのではないか、と一係は考えるようになります。ゴリさんはさらに、事件の目撃者である仲本が嘘をついているのではないか、と疑います。実は、仲本はたいへん臆病な人間で、発砲してくる犯人を追いかけることもできなかったことを恥じていたのでした。
さらに、かつて臆病ゆえに犯人を逃がした仲本はその件で上司に叱責されていたところを息子に見られ、息子は父親に反抗して家庭内暴力を振るう人間になっていました。ラガーはスコッチの助言もあって仲本の息子を立ち直らせることができ、犯人も無事逮捕できます。ラガーが仲本の息子を立ち直らせるところが強引だったものの、刑事も弱い人間なのだと理解した若手刑事ラガーの成長、ラガーにとって複雑な感情を抱いている父親と尊敬する元刑事とを対比させる話の構造など、脚本はたいへんよかったと思います。これでラガーの演技が水準以上であれば、8点もしくは9点評価としていたのですが。
493話「スコッチよ静かに眠れ」10
ついにスコッチが殉職となります。『太陽にほえろ!』では11人のレギュラー刑事が殉職しましたが、直接的な死因が刺されたことや銃撃されたことではなかったのは殿下とスコッチだけなので、スコッチの最期は異質と言えるでしょう。もっとも、そもそもスコッチの死因は以前銃撃されたことにあるので、その意味では他の殉職した刑事と同じと言えるかもしれません。スコッチ役の沖雅也氏の状態は、以前と比較するとかなり悪かったようで、台詞回しや体形からもそれが窺えるのは残念でした。ただ、好調時ほどではないにしても、犯人と格闘している時のスコッチ無双はなかなか迫力がありました。
話の方は、以前から語られていた、スコッチの古傷が悪化したという設定が活かされており、スコッチの覚悟が前面に出ていましたから、視聴者を惹きつけるものだったと思います。最期までボスの部下でいたい、というスコッチの心情が、脚本・演出・演技でよく表現されていました。スコッチと犯人との因縁も話をなかなか面白くしていたと思います。スコッチの最後の台詞となった、「死にたくない」は、スコッチが初登場時に七曲署の屋上でゴリさんに殴られた時に言った「俺はまだ死にたくない」を踏まえたものなのでしょう。当時は制作陣もそれを伏線とする意図はなかったのでしょうが、結果的には重要な伏線になっていたように思われます。
494話「ジプシー刑事登場!」7
スコッチの後任は原昌之でした。原刑事のニックネームである「ジプシー」は、現在では、差別的な意味合いが強いとしてマスメディアでは基本的に使用されていないと思います。そのため、普段の放送より丁寧な断りでした。スコッチの後任ということを意識したのか、原は冷酷で独断専行な感じを印象づけるキャラクターとなっています。原の登場は、なかなか印象が強く残るような脚本・演出になっていたと思います。原昌之を演じる三田村邦彦氏については、台詞回しがいまいちと思うものの、目力は強く、迫力があります。レギュラー刑事の初登場回としては、成功と言えそうな気がします。話の方は、なかなかひねられており、まずまずの出来だったと思います。
495話「意地ッ張り」7
今回も、放送前に丁寧な断りが入りました。原昌之の登場期間は、ずっとこの断りが入るのでしょうか。原は転勤という形で退場した後、1回ゲストで出演しています。スニーカーもそうですが、転勤という形で退場した元レギュラーにはもっと登場してほしかったな、とも思います。今回は、七曲署の意地っ張りな名物警官とドックとのやり取りが中心になって話が進みます。その名物警官が意地っ張りになっていった背景には、不孝な家庭事情がありました。喜劇調なところも人情劇的なところもあり、娯楽作品としてまずまず面白くなっています。
強盗殺人事件を捜査していたラガーは、尊敬している元刑事の仲本と再会します。ラガーの父親は殉職したのですが、表彰されたのは殉職した時だけで、父親には複雑な感情を抱いていました。一方、仲本は何度も表彰されていました。強盗殺人事件の捜査の方は意外な展開を見せ、犯人は強盗に見せかけただけで被害者を殺すことが目的だったのではないか、と一係は考えるようになります。ゴリさんはさらに、事件の目撃者である仲本が嘘をついているのではないか、と疑います。実は、仲本はたいへん臆病な人間で、発砲してくる犯人を追いかけることもできなかったことを恥じていたのでした。
さらに、かつて臆病ゆえに犯人を逃がした仲本はその件で上司に叱責されていたところを息子に見られ、息子は父親に反抗して家庭内暴力を振るう人間になっていました。ラガーはスコッチの助言もあって仲本の息子を立ち直らせることができ、犯人も無事逮捕できます。ラガーが仲本の息子を立ち直らせるところが強引だったものの、刑事も弱い人間なのだと理解した若手刑事ラガーの成長、ラガーにとって複雑な感情を抱いている父親と尊敬する元刑事とを対比させる話の構造など、脚本はたいへんよかったと思います。これでラガーの演技が水準以上であれば、8点もしくは9点評価としていたのですが。
493話「スコッチよ静かに眠れ」10
ついにスコッチが殉職となります。『太陽にほえろ!』では11人のレギュラー刑事が殉職しましたが、直接的な死因が刺されたことや銃撃されたことではなかったのは殿下とスコッチだけなので、スコッチの最期は異質と言えるでしょう。もっとも、そもそもスコッチの死因は以前銃撃されたことにあるので、その意味では他の殉職した刑事と同じと言えるかもしれません。スコッチ役の沖雅也氏の状態は、以前と比較するとかなり悪かったようで、台詞回しや体形からもそれが窺えるのは残念でした。ただ、好調時ほどではないにしても、犯人と格闘している時のスコッチ無双はなかなか迫力がありました。
話の方は、以前から語られていた、スコッチの古傷が悪化したという設定が活かされており、スコッチの覚悟が前面に出ていましたから、視聴者を惹きつけるものだったと思います。最期までボスの部下でいたい、というスコッチの心情が、脚本・演出・演技でよく表現されていました。スコッチと犯人との因縁も話をなかなか面白くしていたと思います。スコッチの最後の台詞となった、「死にたくない」は、スコッチが初登場時に七曲署の屋上でゴリさんに殴られた時に言った「俺はまだ死にたくない」を踏まえたものなのでしょう。当時は制作陣もそれを伏線とする意図はなかったのでしょうが、結果的には重要な伏線になっていたように思われます。
494話「ジプシー刑事登場!」7
スコッチの後任は原昌之でした。原刑事のニックネームである「ジプシー」は、現在では、差別的な意味合いが強いとしてマスメディアでは基本的に使用されていないと思います。そのため、普段の放送より丁寧な断りでした。スコッチの後任ということを意識したのか、原は冷酷で独断専行な感じを印象づけるキャラクターとなっています。原の登場は、なかなか印象が強く残るような脚本・演出になっていたと思います。原昌之を演じる三田村邦彦氏については、台詞回しがいまいちと思うものの、目力は強く、迫力があります。レギュラー刑事の初登場回としては、成功と言えそうな気がします。話の方は、なかなかひねられており、まずまずの出来だったと思います。
495話「意地ッ張り」7
今回も、放送前に丁寧な断りが入りました。原昌之の登場期間は、ずっとこの断りが入るのでしょうか。原は転勤という形で退場した後、1回ゲストで出演しています。スニーカーもそうですが、転勤という形で退場した元レギュラーにはもっと登場してほしかったな、とも思います。今回は、七曲署の意地っ張りな名物警官とドックとのやり取りが中心になって話が進みます。その名物警官が意地っ張りになっていった背景には、不孝な家庭事情がありました。喜劇調なところも人情劇的なところもあり、娯楽作品としてまずまず面白くなっています。
この記事へのコメント
劉さんは殿下の退場が『太陽にほえろ!』のターニングポイントみたいですが、私はここですね。
ボンとスコッチが双璧で好きでした。
沖 雅也 さんの精神的な病状は進んでいて、服用していた薬の副作用で、当時は体重が増加していたそうです。
殉職の最期の台詞は俳優さん自身が決めるのが『太陽にほえろ!』の伝統ですから、あの『死に、たく、ない・・』の台詞も
沖さん自身が選んだものと思われます。
あれは、スコッチではなく、沖さん自身の魂の叫びだったのではないかと思います。
自分の病状が悪化し、生命が残り僅かであることを感じていたからの、言葉だったのでは。
これ以上の出演が困難となり、やむを得ない降板の為の殉職だったのは、わかりますが、スコッチはあのまま病気によるフェードアウトでもよかったかなとも思います。
それならば、スコッチ刑事への思い残しで、沖さんが生命を自ら絶つことも、無かったかも・・とは、言っても詮なきことでしょうが。
沖さんの死後に生まれた世代の俳優さんでも、沖さんの出演作を視て、憧れる方が少なくないそうです。
これからも、俳優・沖 雅也 さんの魅力は次の世代に、拡がっていくのでしょう。
殿下殉職回では、殿下の死を知ったスコッチが悲しむ演技がたいへん印象に残っています。
スコッチの病死編。
七曲署管内で密造拳銃を使った殺傷事件が頻発する。一係の刑事たちはその密造工場の場所を突き止めようとするが、なかなか手がかりがつかめない。
スコッチも病を推して病院を抜け出し、かつて自分が逮捕した男(野瀬哲夫)の線から場所を知ろうとする。
そして、ようやくのことで、BAR『黒猫』の地下室がその場所と知り、一係へ連絡しようとした時、発作に襲われ芝生の上に喀血 ゴリさんが来るもスコッチはすでに虫の息。
この後、山さんも病室に駆けつけ、その時とその前シーンのゴリさんとのやり取りのスコッチのセリフ (まだ咲かないサボテンを見て)『こいつ、いつ咲くのかな?』(沖氏は実際にもサボテン好き)や、『死にたくない…』ボスとの電話越しの会話 『私はまだボスの部下でいたいんです!』等は、沖雅也氏自身のその後を暗示しているような『心の叫び』ように思えて仕方ない。
本当に惜しい人を亡くしたものです。まだまだ活躍して欲しかった。生きて欲しかった。まだまだいろいろな役を演じているのを見たかった俳優の一人です。