小林登志子『文明の誕生 メソポタミア、ローマ、そして日本へ』
中公新書の一冊として、中央公論新社から2015年6月に刊行されました。本書は、現代世界の「標準」たる西洋「文明」の起源はメソポタミアにある、との認識に基づき、シュメルを中心にメソポタミアの古代「文明」について解説しています。副題にもあるように、ローマ帝国や日本への言及も多く、古代ギリシアの事例も度々取り上げられています。
上述した本書の趣旨から予想できますが、様々な観点からシュメルを始めとするメソポタミア古代「文明」と現代社会との類似性が強調されています。もちろん、法的に身分差別が前提となっていたことなど、古代メソポタミア社会と現代社会との大きな違いも指摘されてはいるのですが、両者の類似性の指摘にやや偏っているのではないか、との疑問も残ります。とはいえ、両者には都市が中心となる社会という共通点があり、本書が指摘するように、多くの類似性があることは間違いないのでしょう。
本書は、分業・暦・文字・法・交通網など、多様な観点から現代「文明」に通ずる要素が古代メソポタミア社会に出現していたことを指摘しています。もちろん、本書から伺えるように、古代メソポタミア社会は宗教色が強いというか、神が大きな役割を担っており、それは現代社会の多く、とくに日本社会では違和感を覚える人が多いかもしれませんが、一方で、本書の描く古代メソポタミア社会はかなり世俗化しているようにも思われます。その意味で、古代メソポタミア社会には親近感を覚えます。
本書は金属・女性なども取り上げており、多様な観点からの古代メソポタミア社会の解説になっています。ただ、時系列に沿った叙述にはなっていないので、ある程度古代メソポタミア社会についての予備知識はある方がよさそうです。その意味では、本書は古代メソポタミア社会についての準入門書と言えるかもしれません。
上述した本書の趣旨から予想できますが、様々な観点からシュメルを始めとするメソポタミア古代「文明」と現代社会との類似性が強調されています。もちろん、法的に身分差別が前提となっていたことなど、古代メソポタミア社会と現代社会との大きな違いも指摘されてはいるのですが、両者の類似性の指摘にやや偏っているのではないか、との疑問も残ります。とはいえ、両者には都市が中心となる社会という共通点があり、本書が指摘するように、多くの類似性があることは間違いないのでしょう。
本書は、分業・暦・文字・法・交通網など、多様な観点から現代「文明」に通ずる要素が古代メソポタミア社会に出現していたことを指摘しています。もちろん、本書から伺えるように、古代メソポタミア社会は宗教色が強いというか、神が大きな役割を担っており、それは現代社会の多く、とくに日本社会では違和感を覚える人が多いかもしれませんが、一方で、本書の描く古代メソポタミア社会はかなり世俗化しているようにも思われます。その意味で、古代メソポタミア社会には親近感を覚えます。
本書は金属・女性なども取り上げており、多様な観点からの古代メソポタミア社会の解説になっています。ただ、時系列に沿った叙述にはなっていないので、ある程度古代メソポタミア社会についての予備知識はある方がよさそうです。その意味では、本書は古代メソポタミア社会についての準入門書と言えるかもしれません。
この記事へのコメント