マウス遺伝子の機能解明

 マウス遺伝子の機能を解明した研究(Angelis et al., 2015)が公表されました。この研究は、マウス遺伝子320個の既知の変異の表現型を全て解析しました。その結果、体重・代謝関連形質・行動関連形質など413の形質が計測され、これまで機能が明らかになっていなかった179個の遺伝子のうちの152個について、関連する表現型が同定されました。たとえば、脳内で発現する「Elmod1」遺伝子については、その変異が絶食時血糖値の低下・低体重・行動異常(驚愕反応低下・活動性の亢進など)と関連していることが確認されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


マウス遺伝子の機能解明が大きく前進

 これまでで最大規模のマウス遺伝子の機能解析が行われ、数多くの遺伝子について、これまで知られていなかった機能が判明した。今回の研究は、全てのマウス遺伝子の機能解明を目指した今後の研究の方法の1つとなる。この研究成果について報告する論文が、今週掲載される。

 マウスのゲノム中の遺伝子の約3分の1は、何らかの表現型(身体的形質)と結び付いている。しかし、表現型として注目されるかどうかは、通常、研究者の具体的な関心によって決まっている。

 今回、8か国の18の研究機関から集まったSteve Brownの研究グループは、マウス遺伝子(320個)の既知の変異の表現型を全て解析するパイロットプロジェクトを行った。今回の研究では、それぞれの変異マウスについて、体重、代謝関連形質、行動関連形質など413の形質が計測された。その結果、これまで機能が明らかになっていなかった179個の遺伝子のうちの152個について、関連する表現型が同定された。例えば、これまで機能が分かっていなかったElmod1遺伝子という脳内で発現する遺伝子については、その変異が絶食時血糖値の低下、低体重、行動異常(驚愕反応低下、活動性の亢進など)と関連していることが認められた。



参考文献:
Angelis MH. et al.(2015): Analysis of mammalian gene function through broad-based phenotypic screens across a consortium of mouse clinics. Nature Genetics, 47, 9, 969–978.
http://dx.doi.org/10.1038/ng.3360

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック