生物が複雑化した後期エディアカラ紀

 比較的大きい巨視的な生物が化石記録に初めて多数現れた後期エディアカラ紀(5億8000万~5億4100万年前)の化石についての研究(Mitchell et al., 2015)が公表されました。この研究は、そうした巨視的な生物のなかでも、分枝したシダの葉のような要素を持つ固着性海洋生物「rangeomorph」の一つである「Fractofusus」の生物学的特性を検証しています。「Fractofusus」は走根(イチゴ植物体の「吸枝」に似たもの)のような構造体を用いて無性的に増殖し、繁殖体が水に運ばれて分散するという、複雑な生活史を有していた、と推測されています。こうした戦略によって、局所への迅速な定着と、まだ定着していない新しい場所への輸送が可能になったのではないか、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


古生物学:エディアカラの巨視的生物の生殖様式を推測する

古生物学:生物が複雑化した時代

 比較的大きい巨視的な生物が化石記録に初めて多数現れるのは、後期エディアカラ紀(5億8000万~5億4100万年前)である。その中で特に目を引くのは、分枝したシダの葉のような要素を持つ固着性海洋生物rangeomorphである。その生物学的類似性や習性はほとんど分かっていないが、今回E Mitchellたちは、カナダ・ニューファンドランドで見つかったFractofususの特別によく解明されている3つの層理面個体群の解析から十分な証拠を収集し、それらがどのようにして集合状態になったのかを明らかにすることで、Fractofususの多くの生物学的特性を推測した。Fractofususは、化石が最も多く保存されているrangeomorphの1つで、おそらく走根(イチゴ植物体の「吸枝」に似たもの)のような構造体を用いて無性的に増殖し、繁殖体が水に運ばれて分散するという、複雑な生活史を有していたようである。こうした戦略によって、局所への迅速な定着と、まだ定着していない新しい場所への輸送が可能になったと考えられる。



参考文献:
Mitchell EG. et al.(2015): Reconstructing the reproductive mode of an Ediacaran macro-organism. Nature, 524, 7565, 343–346.
http://dx.doi.org/10.1038/nature14646

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