中生代の哺乳類化石の軟部組織

 スペインで発見された中生代の哺乳類化石の軟部組織に関する研究(Martin et al., 2015)が公表されました。この研究は、絶滅した初期哺乳類の一群である真三錐歯類(eutriconodont)の1億2500万年前の化石を報告しています。この化石には軟部組織が保存されており、これはその最古の事例となります。「Spinolestes xenarthrosus」と命名されたこの化石には、毛皮・外耳およびハリネズミやトゲマウスに見られるような背中の細かい棘毛などの皮膚構造といった、典型的な哺乳類の特徴が認められます。皮下には肝臓や肺胞のある肺を示す証拠があり、筋性の横隔膜の存在が示唆されました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


進化生態学:白亜紀の真三錐歯類と初期哺乳類の外皮の進化

進化生態学:中生代の哺乳類化石に保存された軟部組織

 真三錐歯類(eutriconodont)は絶滅した初期哺乳類の一群であり、その名称は咬頭(高い部分)が3個ある特徴的な形の臼歯に由来する。今回、保存状態が極めて良好な1億2500万年前の真三錐歯類の化石が報告され、軟部組織が保存された哺乳類化石の最古の記録がこれによって6000万年以上さかのぼった。スペイン・ラスオヤスで見つかりSpinolestes xenarthrosusと命名されたこの化石には、毛皮や外耳、ハリネズミやトゲマウスに見られるような背中の細かい棘毛などの皮膚構造といった、典型的な哺乳類の特徴が認められる。皮下には肝臓や肺胞のある肺を示す証拠があり、筋性の横隔膜の存在が示唆された。



参考文献:
Martin T. et al.(2015): A Cretaceous eutriconodont and integument evolution in early mammals. Nature, 526, 7573, 380–384.
http://dx.doi.org/10.1038/nature14905

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック