熱帯の山の生物相の進化

 熱帯の山の生物相の進化に関する研究(Merckx et al., 2015)が公表されました。ボルネオ島のキナバル山は他の熱帯山地と同様に生物多様性ホットスポットとなっており、標高によって隔離された固有種が多数存在します。この研究は、キナバル山のカエル類・昆虫・顕花植物・シダ類・真菌類などを含む生物相全体の標本採取を行ない、DNAバーコーディング法により、キナバル山に生息する種の大半はこの山の600万年という年齢よりも新しく、生態的地位を高地に移した低地種の近縁種であるか、他の高地に由来する長距離移入種であることを明らかにしました。山地の生物多様性の起源の解明は、環境変化に対するその応答の解明に役立つだろう、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


生態学:熱帯の新しい山における生物相の固有性の進化

生態学:山の生物相の進化

 マレーシア・ボルネオ島のキナバル山は、ヒマラヤ山脈とニューギニアの間にある山として最高峰であり、他の熱帯山地と同様に生物多様性ホットスポットとなっていて、標高によって隔離された固有種が多数存在する。今回、そうした生物多様性の進化的起源を調べるために、キナバル山のカエル類、昆虫、クモ類、腹足類、ヒル類、蘚類、顕花植物、シダ類、真菌類を含む生物相全体の標本採取が行われた。DNAバーコーディング法により、キナバル山に生息する種の大半はこの山の600万年という年齢よりも新しく、生態的地位を高地に移した低地種の近縁種であるか、または他の高地に由来する長距離移入種であることが明らかになった。山地の生物多様性の起源を解明することは、環境変化に対するその応答の解明に役立つだろう。



参考文献:
Merckx VSFT. et al.(2015): Evolution of endemism on a young tropical mountain. Nature, 524, 7565, 347–350.
http://dx.doi.org/10.1038/nature14949

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