イタリア南部のネアンデルタール人化石
取り上げるのが遅れましたが、イタリア南部で発見されたネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)化石に関する研究(Lari et al., 2015)が報道されました。このネアンデルタール人化石は、1993年にイタリア南部のアルタムーラ(Altamura)市近くのラマルンガ(Lamalunga)カルスト洞窟で発見されました。しかし、方解石で覆われているため、現時点で回収されているのは断片的な右肩甲骨の一部にとどまっています。しかし、この研究では、この断片的な化石から注目すべき情報を引き出しています。
断片的な一部の人骨の分析・比較から、この人類化石はネアンデルタール人に分類されています。この人類化石の年代は、方解石の分析から172000±1500年前~130010±1900年前と推定されています。研究チームは、この人類化石からのDNAの抽出にも成功していますが、断片的であり、まだ予備的な分析の段階にとどまっています。DNAの抽出に成功したネアンデルタール人としては、この人類化石が最古となります。なお、DNAの抽出に成功した最古の人類の年代は、現時点では40万年前頃となります(関連記事)。
ラマルンガ洞窟のネアンデルタール人化石は、ネアンデルタール人の進化を解明するうえでたいへん重要となりそうです。とくに、まだ予備的な分析にとどまっており、断片的とはいえ、DNAの抽出に成功したことは大いに注目されます。イタリア南部の17万~13万年前頃の人骨でも、洞窟で発見されたことが幸いしたのか、DNAの抽出に成功したとなると、DNAの抽出に成功するかもしれない10万年以上前の人骨が増えていき、驚くべき研究成果がさらに蓄積されていくのではないか、と大いに期待されます。
参考文献:
Lari M. et al.(2015): The Neanderthal in the karst: First dating, morphometric, and paleogenetic data on the fossil skeleton from Altamura (Italy). Journal of Human Evolution, 82, 88–94.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2015.02.007
断片的な一部の人骨の分析・比較から、この人類化石はネアンデルタール人に分類されています。この人類化石の年代は、方解石の分析から172000±1500年前~130010±1900年前と推定されています。研究チームは、この人類化石からのDNAの抽出にも成功していますが、断片的であり、まだ予備的な分析の段階にとどまっています。DNAの抽出に成功したネアンデルタール人としては、この人類化石が最古となります。なお、DNAの抽出に成功した最古の人類の年代は、現時点では40万年前頃となります(関連記事)。
ラマルンガ洞窟のネアンデルタール人化石は、ネアンデルタール人の進化を解明するうえでたいへん重要となりそうです。とくに、まだ予備的な分析にとどまっており、断片的とはいえ、DNAの抽出に成功したことは大いに注目されます。イタリア南部の17万~13万年前頃の人骨でも、洞窟で発見されたことが幸いしたのか、DNAの抽出に成功したとなると、DNAの抽出に成功するかもしれない10万年以上前の人骨が増えていき、驚くべき研究成果がさらに蓄積されていくのではないか、と大いに期待されます。
参考文献:
Lari M. et al.(2015): The Neanderthal in the karst: First dating, morphometric, and paleogenetic data on the fossil skeleton from Altamura (Italy). Journal of Human Evolution, 82, 88–94.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2015.02.007
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