現生鳥類の近縁種の最古となる化石

 現生鳥類の近縁種としては最古となる化石についての研究(Wang et al., 2015)が公表されました。2億5200万~6600万年前頃の中生代の鳥類には、現生鳥類の祖先が含まれる真鳥形類と、白亜紀末に絶滅して現代には子孫が残っていないと考えられる異鳥類とが存在しました。中生代の鳥類の化石は少ないため、鳥類の初期進化史についてはよく分かっていません。この研究では、中国の河北省にある四岔口(Sichakou)盆地で発見された真鳥形類の新種化石(Archaeornithura meemannae)が報告されています。

 この化石には羽毛がほぼ完全に保存されており、空気力学的な生活様式と飛行時の操縦性に特有の解剖学的特徴が見られることが明らかにされています。また、脚の上部(脛足根骨部)に羽毛が見られないことから、浅い水中を歩き回って餌をあさる生活様式だったと考えられ、この点では同じ堆積物から発見された他の鳥類種の化石とも一致している、とのことです。この新種化石の年代は1億3070万年前頃で、現時点では最古の真鳥形類の化石となります。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【化石】現生鳥類の近縁種として最古の化石

 中国で堆積物から発掘された保存状態の良好な2つの化石によって現生鳥類の進化の記録が500~600万年ほどさかのぼったという報告が、今週掲載される。この化石標本はArchaeornithura meemannaeと命名され、これまでに発見された最古の真鳥形類の化石記録となった。現生鳥類の全てが、この真鳥形類の系統から出現している。

 中生代(およそ2億5,200万~6,600万年前)の鳥類の化石標本は稀少であるため、現生鳥類の祖先の初期進化史はほとんど解明されていない。中生代の鳥類種が含まれている分岐群の1つである真鳥形類には、当時の鳥類種全体の約半数が含まれていたと考えられている。もう1つの分岐群である異鳥類は、歯とかぎ爪のついた翼を特徴とするが、約6600万年前の白亜紀-古第三紀境界で絶滅し、その子孫は現存しないと考えられている。

 Min Wangたちは論文に、中国東北部の河北省四岔口(Sichakou)盆地から出土した真鳥形類の新種の化石について記述しており、この化石には羽毛がほぼ完全に保存され、空気力学的な生活様式と飛行時の操縦性に特有の解剖学的特徴が見られることが明らかにされている。また、脚の上部(脛足根骨部)に羽毛の見られないことは、浅い水中を歩き回って餌をあさる生活様式を示すものであり、この点は同じ堆積物から発見された他の鳥類種の化石とも一致している。さらに、これらの化石が発掘された地層の層序学的年代決定と放射年代測定も行われ、今回発表される化石標本の鳥類種が約1億3070万年前の白亜紀前期に生息しており、これまで最古とされていた1億2500万年前の白亜紀前期層から出土した真鳥形類の化石標本より古いことが判明した。



参考文献:
Wang M. et al.(2015): The oldest record of ornithuromorpha from the early cretaceous of China. Nature Communications, 6, 6987.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms7987

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