石器時代の大規模な「武器工場」?
アルメニアにおける石器時代の黒曜石の利用とその流通に関する研究が報道されました。元ネタとなる論文と報告については具体的に言及されておらず、検索しても見つけられませんでした。肝心なところに言及されておらず、すっきりとしないのですが、とりあえず備忘録的に掲載しておくことにします。この研究は、アルメニアのアルテニ山(標高2046m)で発見された石器群を取り上げています。アルテニ山の斜面には黒曜石が豊富にあるため、石器製作の拠点となったようです。
表題で「武器工場」とされているのは、手斧・削器・鑿・矢尻・槍の穂先などが大量に発見されているからなのですが、「武器工場」との表現の妥当性はさておくとして、黒曜石の産地ということで、石器製作の拠点であったことは間違いないのでしょう。報道によると、アルテニ山における黒曜石の利用は紀元前1000年頃まで続いた、とのことです。紀元前1000年頃となると、青銅器はもちろんのこと、すでに鉄器も利用されていました。
報道によると、アルテニ山において「武器の製造が活発に行われていた」時期は「前期旧石器時代」までさかのぼるとのことで、「一帯に現れた最初の加工職人」は初期ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)とされています。ネアンデルタール人ならば中部旧石器文化ではないのか、とも思うのですが、報道では具体的な年代とインダストリーが明示されていないので、どうもよく分かりません。また、アルテニ山の黒曜石の中には140万年以上前のものもある、とも紹介されているのですが、散発的な黒曜石の利用は140万年前頃までさかのぼるものの、本格的な石器製作は初期ネアンデルタール人の頃からだ、ということでしょうか。こちらも、どうもよくわかりません。
黒曜石は化学分析により産地の推定が可能なので、どのような範囲で流通したのか明らかにできます。報道によると、携帯型蛍光X線分析装置を用いることで、じゅうらいよりも短期間に広範な地域の黒曜石を分析でき、アルテニ山の黒曜石がどこまで流通していたのか(少なくともその一部が)明らかになった、とのことです。アルテニ山の黒曜石製の石器は、北はカフカス山脈を越えた現在のウクライナ、西はアナトリアを越えて約2500km離れたエーゲ海でも見つかっている、とのことですが、それがいつのことなのか、報道だと明示されていません。
ネアンデルタール人の時代、おそらくは現生人類(Homo sapiens)が担い手の上部旧石器時代、新石器時代、青銅器時代というように、年代ごとに流通範囲が分かるようだと、たいへん興味深いのですが。さすがに、ネアンデルタール人の時代に2000km超の石材の移動はなさそうですが、ネアンデルタール人の交流もしくは移動範囲を検証し、その社会的ネットワークを推定するうえで、重要な手がかりが得られるかもしれません。一般的には、ネアンデルタール人の社会的ネットワークは現生人類と比較して貧弱だった、とされています。
新たな分析技術では、黒曜石に含まれる磁鉄鉱(マグネタイト、磁性を持つ酸化鉄のこと)を利用した測定法が注目されます。これにより、磁鉄鉱の粒の大きさ・形・配置がどう違うかまで明らかになるので、黒曜石が採掘された場所についての非常に精密なデータが得られる、とのことです。これにより、ネアンデルタール人がどのような場所で黒曜石を採取していたのか推測できるので、ネアンデルタール人の「調達戦略」の解明の手がかりになるかもしれないそうです。
表題で「武器工場」とされているのは、手斧・削器・鑿・矢尻・槍の穂先などが大量に発見されているからなのですが、「武器工場」との表現の妥当性はさておくとして、黒曜石の産地ということで、石器製作の拠点であったことは間違いないのでしょう。報道によると、アルテニ山における黒曜石の利用は紀元前1000年頃まで続いた、とのことです。紀元前1000年頃となると、青銅器はもちろんのこと、すでに鉄器も利用されていました。
報道によると、アルテニ山において「武器の製造が活発に行われていた」時期は「前期旧石器時代」までさかのぼるとのことで、「一帯に現れた最初の加工職人」は初期ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)とされています。ネアンデルタール人ならば中部旧石器文化ではないのか、とも思うのですが、報道では具体的な年代とインダストリーが明示されていないので、どうもよく分かりません。また、アルテニ山の黒曜石の中には140万年以上前のものもある、とも紹介されているのですが、散発的な黒曜石の利用は140万年前頃までさかのぼるものの、本格的な石器製作は初期ネアンデルタール人の頃からだ、ということでしょうか。こちらも、どうもよくわかりません。
黒曜石は化学分析により産地の推定が可能なので、どのような範囲で流通したのか明らかにできます。報道によると、携帯型蛍光X線分析装置を用いることで、じゅうらいよりも短期間に広範な地域の黒曜石を分析でき、アルテニ山の黒曜石がどこまで流通していたのか(少なくともその一部が)明らかになった、とのことです。アルテニ山の黒曜石製の石器は、北はカフカス山脈を越えた現在のウクライナ、西はアナトリアを越えて約2500km離れたエーゲ海でも見つかっている、とのことですが、それがいつのことなのか、報道だと明示されていません。
ネアンデルタール人の時代、おそらくは現生人類(Homo sapiens)が担い手の上部旧石器時代、新石器時代、青銅器時代というように、年代ごとに流通範囲が分かるようだと、たいへん興味深いのですが。さすがに、ネアンデルタール人の時代に2000km超の石材の移動はなさそうですが、ネアンデルタール人の交流もしくは移動範囲を検証し、その社会的ネットワークを推定するうえで、重要な手がかりが得られるかもしれません。一般的には、ネアンデルタール人の社会的ネットワークは現生人類と比較して貧弱だった、とされています。
新たな分析技術では、黒曜石に含まれる磁鉄鉱(マグネタイト、磁性を持つ酸化鉄のこと)を利用した測定法が注目されます。これにより、磁鉄鉱の粒の大きさ・形・配置がどう違うかまで明らかになるので、黒曜石が採掘された場所についての非常に精密なデータが得られる、とのことです。これにより、ネアンデルタール人がどのような場所で黒曜石を採取していたのか推測できるので、ネアンデルタール人の「調達戦略」の解明の手がかりになるかもしれないそうです。
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