カカオ豆の認知機能促進効果

 カカオ豆による高齢者の認知機能促進効果についての研究(Brickman et al., 2014)が公表されました。加齢に伴う認知機能の減退では、歯状回という脳領域に変化が見られ、この機能低下と記憶力の低下との関連の可能性が報告されています。この研究では、カカオ豆に多く含まれるフラバノールという成分を高齢者に投与したところ、多量に摂取した被験者群は少量を摂取した被験者群と比較して、遅延再認課題の反応がはるかに速い、と報告されています。この研究ではさらに、フラバノールの摂取による能力改善が歯状回における脳血流量の増加と相関していることも明らかにされています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


カカオで高齢者の認知機能を促進

 カカオ豆に多く含まれるフラバノールという成分は天然に生じるダイエット化合物であり、これが老齢者の認知機能を高めるかもしれないとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。

 加齢に伴う認知機能の減退では、歯状回(DG)という脳領域に変化がみられる。これまでの研究では、加齢に伴う歯状回の機能低下が時の経過に伴う記憶力の低下に関わる可能性が報告されている。

 Scott A. Smallらは、37人の高齢被験者に対し、カカオのフラバノールが歯状回の機能と認知機能を高めるかについて調査した。被験者は50~69歳で、3か月にわたってカカオのフラバノールを多量もしくは少量投与された。Smallらは、カカオフラバノールを3か月間多量に摂取した被験者は少量摂取群に比べ、遅延再認課題においてはるかに反応が速いと報告している。3か月間のフラバノール接種前後の脳のスキャン画像の比較から、Smallらはこうしたフラバノールによる能力の改善がDGにおける脳血流量の増加と相関していることを発見した。これは、カカオフラバノールを食品として多く摂取すると高齢者の歯状回の機能が増強され、ひいては認知機能が改善される可能性があることを示唆している。



参考文献:
Brickman AM. et al.(2014): Enhancing dentate gyrus function with dietary flavanols improves cognition in older adults. Nature Neuroscience, 17, 12, 1798–1803.
http://dx.doi.org/10.1038/nn.3850

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