大河ドラマ『軍師官兵衛』第45回「秀吉の最期」

 今日はもう1本掲載します。今回は官兵衛の次男の熊之助と秀吉の死が描かれました。熊之助は父と兄の言いつけに背き、太兵衛の嫡男の吉太夫と共に朝鮮半島に渡海しようとしたものの、遭難して船が難破し、共に死んでしまいます。太兵衛と吉太夫の出かけているところを糸は見ていました。その後、糸は娘を産みます。糸は、熊之助を止めなかったことと息子を産めなかったことを悔やみます。そのため、糸は長政との離縁をすんなりと受け入れた、という話になるのでしょうか。

 秀吉はすっかり老い、死期が近いことを悟っていました。秀吉は訪ねてきた家康に、自分の死後はどうなるだろう、と不安げに尋ねます。家康は秀吉の前で秀頼への忠誠を誓い、秀吉は家康に秀頼を支えるよう懇願します。そんな家康を、三成と淀(茶々)は冷ややかに見ていました。しかし秀吉は、家康のことを信頼していたわけではありませんでした。秀吉は「おね」と二人きりになると、家康の天下簒奪への恐れを率直に打ち明けます。自分の信長死後の所業を、今度は家康にやられてしまうのではないか、というわけです。

 信長死後の秀吉には官兵衛がいた、と「おね」が言うと、秀吉は朝鮮半島にいる官兵衛を呼び戻します。帰国した官兵衛は秀吉に謁見します。秀吉は病に臥せっており、すっかり衰えていました。秀吉は官兵衛に、本能寺の変の報せが届いた時のことを話します。官兵衛なくして自分の天下はなかったと言う秀吉はすっかり弱気になり、利休や秀次など多くの人を殺してしまったことに恐れを抱いているようです。自分は間違っていたのか、と秀吉に問われた官兵衛は、信長に拘りすぎたのだ、と答えます。秀吉は、豊臣の天下を確たるものにするためには仕方なかったと言い、官兵衛に自分の死後秀頼を守ってくれ、と懇願します。

 すると官兵衛は、秀吉の手を離し、天下を治めるのはその器の者だけである、と言います。秀頼は天下人に相応しくないのか、と秀吉に問われた官兵衛は、秀頼はまだ6歳にすぎない、と答えます。自分の死後に天下を狙っているのか、と秀吉に問われた官兵衛が、秀吉のもとで天下を治めたかっただけだと答えると、官兵衛は相変わらずお人よしだな、と秀吉は言います。立ち去ろうとする官兵衛に、官兵衛の思うような天下人にはなれなかった、と言って秀吉は謝ります。官兵衛はそんな秀吉に、軍師として長く奉公させてもらったことを感謝します。

 秀吉がついに没したとの報せを受けた家康は、口許にわずかに笑みを浮かべた後、家臣たちの前で天下取りへの野心を露にします。淀と三成はともに家康を警戒していますが、淀は家康を得体のしれない人物だと考えており、三成よりもさらに深く家康を警戒しているようです。淀と三成はさらに固く結びついていきます。大河ドラマでは淀と三成が政治的に結束する、という構図がよく描かれるのですが、じっさいのところはどうだったのでしょうか。今回は、秀吉が没し、官兵衛が今後の大乱を予想する、というところで終了です。

 今回は、秀吉の死とともに、秀吉死後の情勢をめぐる、官兵衛・家康・淀・三成の思惑も描かれ、この後の政治的大乱を予感させる終わり方になっていました。秀吉が官兵衛に謝罪したのはどうかな、とも思ったのですが、秀吉が病に臥せり弱気になっていたことが描かれていましたし、主人公補正もあるので、許容範囲内と言えるでしょうか。糸が熊之助を止めなかったことと息子を産めなかったことを後悔したのは、長政との離縁で長政を悪役にしないための工夫なのかもしれません。残り5回で秀吉死後の官兵衛の心理・思惑がどう描かれるのか、楽しみです。

この記事へのコメント

ひろし
2014年11月10日 16:42
個人的に、今年の大河の見所は主役よりも竹中さんが演じる秀吉でした。
ほぼ、秀吉目当てで大河を観てきたようなものでした。
17年ぶりの大河出演で、魅力的に秀吉を演じました。
登場人物の中で、一番重要な役でもあり、面白さがありました。
作品の出来はともかく、竹中さんの演技に見惚れました。
お疲れ様でした。今度は、戦国以外の大河(幕末など)に出演して下さい。

確かに秀吉が官兵衛に謝罪するのには、ちょっと違和感がありました。
まあ、老けメイクに気合が入ってましたし、上手く病人を演じたのが十分でしたが。

残るはあと5回。
家康が動き出し、官兵衛の新たな、そして最後の戦いの幕が開かれようとします。
家康・三成・淀の今後の動きが気になります。

それでは~
2014年11月10日 20:10
秀吉が退場して寂しくなりますね。

しかし、今後も山場があるので、何とか最後まで盛り上げてもらいたいものです。

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  • 軍師官兵衛 第45回 「秀吉の最期」

    Excerpt: 前回から引き続き熊之助の話が続くのですが、これは完全に事故としかいいようがない出来事でした。官兵衛や長政も複数回にわたり大陸へと航海をしていますが、いつこのように転覆事故を起こしてもおかしくない状況だ.. Weblog: あしたまにあーな racked: 2014-11-09 22:57