『太陽にほえろ!』377話~381話

377話「秋深く」6
 謎めいたストーカー事件(放送当時はこうした用語はありませんでしたが)と誘拐事件の解決を軸に話が展開していきます。途中で真相の半分ほどは明かされたのですが、動機をどのように説明するのか、終盤まで謎のままだったので、最後まで緊張感をもって見ることができました。推理ものとしては、まずまずの面白さでしたが、強く印象に残るというほどではなかったことも否定できません。


378話「やさしい棘」6
 スニーカーは亡き親友の兄と再会して喜びますが、じつは親友が亡くなった原因はスニーカーにあり、その兄はスニーカーを恨んでいたという、『太陽にほえろ!』でときどきある苦い話です。話自体はなかなかよいと思うのですが、スニーカーの演技が脚本・演出に追いついていないように見えるのが残念です。スニーカーはこの件で辞表を出しますが、この件も含めてスニーカーは度々辞職を申し出ていたような印象があります。直情的とも言えますが、スニーカーの演技がもうひとつということもあり、たんに軽いという印象も受けます。


379話「旅の夢」8
 殺人事件の目撃者の女性をめぐる殿下主演の話ですが、女性心理に通じているという殿下のキャラが活かされた話になっています。女性が自分の世界を必死に守ろうとするという設定は、第236話「砂の城」
https://sicambre.seesaa.net/article/201303article_9.html
と通ずるところがあるように思います。女性が登場する場面ではスコッチのテーマ曲が流れていましたが、制作陣もそれを意識していたのでしょうか。第236話「砂の城」は、主演のスコッチが女性の世界を崩すことになり、それが結局は女性のための優しさだった、という話だったのですが、この379話では、殿下が一度は女性の世界・秘密を守ろうとする優しさを見せており、それぞれ両者の対照的なキャラを活かした話になっている、と思います。


380話「見込み捜査」8
 山さんが誤認逮捕をしたのではないか、と法廷で追い詰められる話です。しかし、けっきょく、山さんの執念が実って真相が明らかになります。山さん主演作によくある対決ものと言ってよいでしょうが、犯人との直接対決が主題になっているというわけではないのは、やや珍しいでしょう。ここまで1979年後半の放送を見ていて思うのですが、スニーカーが主演でないと面白くなることが多いように思います。この時期の山下真司氏の演技が、脚本・演出に追いついていない、ということなのでしょう。


381話「ともしび」8
 孤独な男女をめぐる事件で、都会の孤独な人間をめぐる犯罪は、『太陽にほえろ!』の定番の一つと言えます。東京で独り暮らしを続ける私にとっては、毎回のことながら他人事とは思えません。手紙を送ってくれてきた人を美化し、自分に都合のよいよう妄想してしまうというのは、意思伝達手段にかなりの違いがあるとはいえ、現代でもよくあることのように思います。

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