チンパンジーの攻撃性

 チンパンジーの攻撃性についての研究(Wilson et al., 2014)が報道されました。現代人に最も近縁な現生種がチンパンジーとボノボであることはよく知られているでしょう。そのため、チンパンジーとボノボは人類の進化モデルとしても研究されてきました。そのなかには、人間の攻撃行動の進化に関するものもあるのですが、近年になって、チンパンジーに見られる暴力は主として人為活動の結果であるとする「人為的影響仮説」が主張されました。この研究では、アフリカ各地のチンパンジーやボノボに関する研究のメタ分析から、チンパンジー同士の攻撃が、資源や配偶相手を獲得するための適応戦略の正常な産物として予測され、人間の存在の有無は関係していないことを明らかにしています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


動物行動学:チンパンジー属(Pan)に見られる致命的攻撃は人為的影響よりも適応戦略で説明がつく
動物行動学:チンパンジーは生まれつき攻撃的である
 ヒトに最も近縁な動物であるチンパンジーやボノボの研究は、ヒトの攻撃行動の進化の解明に大きな影響を与えてきた。しかし近年、チンパンジーに見られる暴力は主として人為活動の結果であるとする「人為的影響仮説」が唱えられ、チンパンジーやボノボでの研究の妥当性に疑問が投げかけられている。今回、アフリカ各地のチンパンジーやボノボに関する研究のメタ分析が行われ、チンパンジー同士の攻撃が、資源や配偶相手を獲得するための適応戦略の正常な産物として予測されるものであり、ヒトの存在の有無は関係していないことが明らかになった。



参考文献:
Wilson ML. et al.(2014): Lethal aggression in Pan is better explained by adaptive strategies than human impacts. Nature, 513, 7518, 414–417.
http://dx.doi.org/10.1038/nature13727

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