本村凌二『はじめて読む人のローマ史1200年』
祥伝社新書の一冊として、祥伝社より2014年6月に刊行されました。本書は、ローマの建国から西ローマ帝国の滅亡までのおよそ1200年間を扱います。広範な時空間を新書一冊で扱うため、本書は工夫をしています。一つは、ローマ史を理解するうえで重要な鍵となる用語を最初に簡潔に解説していることです。具体的には、「S.P.Q.R」・ローマ法・父祖の遺風・パトロヌスとクリエンテテス・多神教と一神教です。これらの簡潔な解説により、ローマ史の特徴を浮かび上がらせています。
次に、七つの問題を設定し、それを解明していくという形式でローマ史を叙述していることです。具体的には、
(1)なぜ、ローマ人は共和政を選んだのか?
(2)なぜ、ローマ軍は強かったのか?
(3)なぜ、ローマは大帝国になったのか?
(4)なぜ、ローマ市民以外に市民権を与えたのか?
(5)なぜ、皇帝はパンとサーカスを与えたのか?
(6)なぜ、キリスト教は弾圧されたのか?
(7)なぜ、ローマは滅亡したのか?
の七つです。さらに、これらを起承転結に区分して叙述していくという工夫がなされています。建国からカルタゴの滅亡までを扱う「起」が(1)と(2)、内乱の1世紀からネロ帝の自害までを扱う「承」が(3)と(4)、五賢帝からセウェルス朝の終焉までを扱う「転」が(5)と(6)、軍人皇帝から西ローマ帝国の滅亡までを扱う「結」が(7)となります。これにより、さまざまな論点を含む広範なローマ史が、新書一冊の分量で上手くまとめられているのではないか、と思います。
私のように、これまでに本村氏の一般向け書籍を多く読んできた人にとって、本書で提示された見解の多くはとくに目新しいものではないでしょう。しかし、新書一冊の分量でローマ史の概説と重要な論点の解説が盛り込まれているので、門外漢にとってはローマ史の復習となります。また、読みやすさは相変わらずですし、奴隷の供給源の変化とローマの安定化を関連づけた解説や、剣闘士の試合に関する考察など、面白さという点でも高水準だと思います。本村氏の一般向け書籍は、このところ外れ(あくまでも、高い期待値を基準としてのことですが)が多かったのですが、本書は久々に当たりでした。
次に、七つの問題を設定し、それを解明していくという形式でローマ史を叙述していることです。具体的には、
(1)なぜ、ローマ人は共和政を選んだのか?
(2)なぜ、ローマ軍は強かったのか?
(3)なぜ、ローマは大帝国になったのか?
(4)なぜ、ローマ市民以外に市民権を与えたのか?
(5)なぜ、皇帝はパンとサーカスを与えたのか?
(6)なぜ、キリスト教は弾圧されたのか?
(7)なぜ、ローマは滅亡したのか?
の七つです。さらに、これらを起承転結に区分して叙述していくという工夫がなされています。建国からカルタゴの滅亡までを扱う「起」が(1)と(2)、内乱の1世紀からネロ帝の自害までを扱う「承」が(3)と(4)、五賢帝からセウェルス朝の終焉までを扱う「転」が(5)と(6)、軍人皇帝から西ローマ帝国の滅亡までを扱う「結」が(7)となります。これにより、さまざまな論点を含む広範なローマ史が、新書一冊の分量で上手くまとめられているのではないか、と思います。
私のように、これまでに本村氏の一般向け書籍を多く読んできた人にとって、本書で提示された見解の多くはとくに目新しいものではないでしょう。しかし、新書一冊の分量でローマ史の概説と重要な論点の解説が盛り込まれているので、門外漢にとってはローマ史の復習となります。また、読みやすさは相変わらずですし、奴隷の供給源の変化とローマの安定化を関連づけた解説や、剣闘士の試合に関する考察など、面白さという点でも高水準だと思います。本村氏の一般向け書籍は、このところ外れ(あくまでも、高い期待値を基準としてのことですが)が多かったのですが、本書は久々に当たりでした。
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