大河ドラマ『軍師官兵衛』第31回「天下人への道」
まだ日付は変わっていないのですが、8月4日分の記事として掲載しておきます。光秀を討ち果たした秀吉は、織田家の後継者を決める清洲会議でも主導権を握ります。勝家は信長の三男である信孝を推しますが、秀吉は筋目が大事だとして、信長の嫡孫たる三法師(秀信)を推します。清洲会議で秀吉は勝家との共存も考えていましたが、官兵衛は、勝家を倒さねばこちらが倒される、と警告し、秀吉も官兵衛の進言に従うことにします。秀吉は改めて信長の後継者となるとことを誓います。
清洲会議の結果、秀吉は居城の長浜を勝家に譲り、姫路城へと移ります。秀吉の措置に不満を抱く信孝は、同じく秀吉に不満を抱く勝家と結び、三法師を居城の岐阜に留めます。官兵衛は信孝に信長の葬儀を執り行うよう進言しますが、三法師を手放すことを条件としたため、信孝は拒否します。これは秀吉・官兵衛の思惑通りで、秀吉は養子に迎えていた信長の四男の秀勝を喪主とし、盛大に信長の葬儀を執り行い、信長の後継者であることを強く印象づけることに成功します。
苦境に立たされた勝家は毛利家と結ぼうとし、吉川元春はその提案に乗ろうとします。毛利家は秀吉に賭けたのだ、と小早川隆景は兄の元春に強く反対します。官兵衛は足利義昭と会い、義昭が勝家と秀吉の両方を天秤にかけていることを見抜きます。こうして秀吉と勝家の対立が深まるなか、官兵衛は千宗易(利休)と出会います。宗易は、自分の弟子に会ってもらいたい、と官兵衛に言います。その弟子とは、道糞と名乗るようになった荒木村重でした。さすがの官兵衛も、これには動揺します。官兵衛は激昂し、村重が妻の「だし」を見捨てたことを詰問します。そんな官兵衛を、宗易は冷静に諭しますが、官兵衛は村重のたてた茶を飲まず、怒りのあまり茶室から出ていきます。その官兵衛に、宗易は村重の迷いを断つよう頼みます。
年が明けて天正11年(1583年)、秀吉は新年を姫路城で迎えていました。秀吉は職隆に、天下まであと少しだ、と言って上機嫌です。その場で長政と小六の娘の糸との結婚が決まります。官兵衛はある程度吹っ切れたのか、村重と会うことにします。官兵衛が村重を訪ねると、高山右近がいました。右近は、村重を裏切った負い目があるのか、村重の世話をしていました。村重は尼崎城から脱出した後のことを官兵衛に打ち明けます。
村重は毛利家を頼って安芸へと向かいましたが、そこでも卑怯者として冷遇され、出奔して諸国を放浪しました。村重は自害も考えていましたが、そんな村重を支えていたのは、信長への恨みでした。信長に叛いた自身のために多くの人が死んだので、自分は死んではならない、信長に負けるわけにはいかない、というわけです。信長が本能寺の変で自害したので、信長に勝った、と村重は考えていました。信長が死んだので、村重はこの世で生きる意味をなくし、生き恥を晒したくないので死のうとも考えますが、煩悩に囚われているので死ねません。村重が宗易の弟子になったのは、生への執着から逃れるためでした。
それでも生への執着から逃れられないという村重は、自分は化け物になったかもしれない、と自嘲します。乱世が続けば自分のような化け物がまた生まれるだろう、と言う村重にたいして、乱世は終わらせる、と官兵衛は語気を荒げます。秀吉に天下を取ってもらい、乱世を終わらせれば、村重のような化け物は生まれない、というわけです。しかし村重は、そうは思わない、と官兵衛に反論します。信長は天下が近づくにつれて変わっていった、天下にはそれほどの魔力があるので、誰もがそれに囚われる、秀吉もそうなるだろう、というわけです。織田家を乗っ取ろうとしている秀吉の天下は恐ろしいものになるだろう、と警告する村重に、官兵衛は反論できません。
天正11年2月、秀吉は勝家陣営の滝川一益を攻め、勝家もこれに応じて挙兵します。天正11年4月、勝家は賤ヶ岳の戦いで秀吉に敗れ、居城の越前北ノ庄に追い詰められ、妻の市とともに自害します。官兵衛は秀吉に、これで天下の行方は決まった、と言います。官兵衛の思惑通りに進んだことから、秀吉は官兵衛を怖れ始めたようで、官兵衛を敵に回したくない、と言います。ただ、この時点での秀吉は明るい感じなので、秀吉と官兵衛の間の溝はまだ深くないようです。市の三人の娘(父は先夫の浅井長政)は秀吉により救出されますが、長女の茶々が両親の仇だとして秀吉に斬りかかる、というところで今回は終了です。
今回は、秀吉と官兵衛との間の溝が深まっていくだろう、と視聴者にはっきりと予感させる内容になっていました。そこで村重が重要な役割を担ったのは、なかなか上手い創作だと思います。村重の描写が雑であれば、逆効果になるところですが、信長に心酔していた頃から謀反を起こすまでの村重の心理状態の変化が丁寧に描かれていましたし、村重が天下への魔力に囚われていた描写もあったので、説得力があってよかったと思います。秀吉と勝家の対立はかなり省略され、賤ヶ岳の戦いもわずかしか描かれませんでしたが、今後の秀吉と家康との戦いや、秀吉と官兵衛の間の溝の深まりが丁寧に描かれるのであれば、秀吉と勝家の対立の描写が駆け足気味になってもとくに問題はないだろう、と思います。
今回最後に登場した茶々は、ナレーションから判断すると、重要な役割を担うようです。今回視聴した限りでは、茶々はかなり気の強い人物のようです。茶々との出会いも秀吉を変えていく一因になりそうなので、今後の秀吉と茶々の関係が注目されます。茶々をはじめとして市の三人の娘を出迎えたのは三成なので、茶々と三成が政治的には近い関係を築いていくことを示唆しているのかな、とも思います。茶々と三成の関係も注目されます。本能寺の変は終わりましたが、話はさらに盛り上がってきた感があり、私はかなり楽しみに視聴しています。この10年くらいの大河ドラマでは、総合的にかなり出来が良い方だと思うのですが、これは少数派の意見なのでしょうか。
清洲会議の結果、秀吉は居城の長浜を勝家に譲り、姫路城へと移ります。秀吉の措置に不満を抱く信孝は、同じく秀吉に不満を抱く勝家と結び、三法師を居城の岐阜に留めます。官兵衛は信孝に信長の葬儀を執り行うよう進言しますが、三法師を手放すことを条件としたため、信孝は拒否します。これは秀吉・官兵衛の思惑通りで、秀吉は養子に迎えていた信長の四男の秀勝を喪主とし、盛大に信長の葬儀を執り行い、信長の後継者であることを強く印象づけることに成功します。
苦境に立たされた勝家は毛利家と結ぼうとし、吉川元春はその提案に乗ろうとします。毛利家は秀吉に賭けたのだ、と小早川隆景は兄の元春に強く反対します。官兵衛は足利義昭と会い、義昭が勝家と秀吉の両方を天秤にかけていることを見抜きます。こうして秀吉と勝家の対立が深まるなか、官兵衛は千宗易(利休)と出会います。宗易は、自分の弟子に会ってもらいたい、と官兵衛に言います。その弟子とは、道糞と名乗るようになった荒木村重でした。さすがの官兵衛も、これには動揺します。官兵衛は激昂し、村重が妻の「だし」を見捨てたことを詰問します。そんな官兵衛を、宗易は冷静に諭しますが、官兵衛は村重のたてた茶を飲まず、怒りのあまり茶室から出ていきます。その官兵衛に、宗易は村重の迷いを断つよう頼みます。
年が明けて天正11年(1583年)、秀吉は新年を姫路城で迎えていました。秀吉は職隆に、天下まであと少しだ、と言って上機嫌です。その場で長政と小六の娘の糸との結婚が決まります。官兵衛はある程度吹っ切れたのか、村重と会うことにします。官兵衛が村重を訪ねると、高山右近がいました。右近は、村重を裏切った負い目があるのか、村重の世話をしていました。村重は尼崎城から脱出した後のことを官兵衛に打ち明けます。
村重は毛利家を頼って安芸へと向かいましたが、そこでも卑怯者として冷遇され、出奔して諸国を放浪しました。村重は自害も考えていましたが、そんな村重を支えていたのは、信長への恨みでした。信長に叛いた自身のために多くの人が死んだので、自分は死んではならない、信長に負けるわけにはいかない、というわけです。信長が本能寺の変で自害したので、信長に勝った、と村重は考えていました。信長が死んだので、村重はこの世で生きる意味をなくし、生き恥を晒したくないので死のうとも考えますが、煩悩に囚われているので死ねません。村重が宗易の弟子になったのは、生への執着から逃れるためでした。
それでも生への執着から逃れられないという村重は、自分は化け物になったかもしれない、と自嘲します。乱世が続けば自分のような化け物がまた生まれるだろう、と言う村重にたいして、乱世は終わらせる、と官兵衛は語気を荒げます。秀吉に天下を取ってもらい、乱世を終わらせれば、村重のような化け物は生まれない、というわけです。しかし村重は、そうは思わない、と官兵衛に反論します。信長は天下が近づくにつれて変わっていった、天下にはそれほどの魔力があるので、誰もがそれに囚われる、秀吉もそうなるだろう、というわけです。織田家を乗っ取ろうとしている秀吉の天下は恐ろしいものになるだろう、と警告する村重に、官兵衛は反論できません。
天正11年2月、秀吉は勝家陣営の滝川一益を攻め、勝家もこれに応じて挙兵します。天正11年4月、勝家は賤ヶ岳の戦いで秀吉に敗れ、居城の越前北ノ庄に追い詰められ、妻の市とともに自害します。官兵衛は秀吉に、これで天下の行方は決まった、と言います。官兵衛の思惑通りに進んだことから、秀吉は官兵衛を怖れ始めたようで、官兵衛を敵に回したくない、と言います。ただ、この時点での秀吉は明るい感じなので、秀吉と官兵衛の間の溝はまだ深くないようです。市の三人の娘(父は先夫の浅井長政)は秀吉により救出されますが、長女の茶々が両親の仇だとして秀吉に斬りかかる、というところで今回は終了です。
今回は、秀吉と官兵衛との間の溝が深まっていくだろう、と視聴者にはっきりと予感させる内容になっていました。そこで村重が重要な役割を担ったのは、なかなか上手い創作だと思います。村重の描写が雑であれば、逆効果になるところですが、信長に心酔していた頃から謀反を起こすまでの村重の心理状態の変化が丁寧に描かれていましたし、村重が天下への魔力に囚われていた描写もあったので、説得力があってよかったと思います。秀吉と勝家の対立はかなり省略され、賤ヶ岳の戦いもわずかしか描かれませんでしたが、今後の秀吉と家康との戦いや、秀吉と官兵衛の間の溝の深まりが丁寧に描かれるのであれば、秀吉と勝家の対立の描写が駆け足気味になってもとくに問題はないだろう、と思います。
今回最後に登場した茶々は、ナレーションから判断すると、重要な役割を担うようです。今回視聴した限りでは、茶々はかなり気の強い人物のようです。茶々との出会いも秀吉を変えていく一因になりそうなので、今後の秀吉と茶々の関係が注目されます。茶々をはじめとして市の三人の娘を出迎えたのは三成なので、茶々と三成が政治的には近い関係を築いていくことを示唆しているのかな、とも思います。茶々と三成の関係も注目されます。本能寺の変は終わりましたが、話はさらに盛り上がってきた感があり、私はかなり楽しみに視聴しています。この10年くらいの大河ドラマでは、総合的にかなり出来が良い方だと思うのですが、これは少数派の意見なのでしょうか。
この記事へのコメント
アバンで終了とは意外!
もっと丁寧に長く描いて欲しかったです。もったいなかったです。
千宗易(利休)登場
配役は伊武雅刀さんとは意外。
今年の大河で、一番まともなキャスティングだと思います。
重要人物(光秀、信長)でミスキャストが多かったですから、この配役は悪くないと思います。
村重、再登場
変化が丁寧に描かれて良かったです。
数少ない、魅力のある人物ですから、扱いが良かったです。
今後の活躍に期待。
長政の縁談
これは、長すぎました。
と言うか、ダイジェストでも良かったです。
長政が主役なら話は別ですが、もうちょっと大事な所に力を入れて欲しかったです。
(なんなら、これをカットして、清州会議をフルにして欲しかったです)
折角面白くなってきたのに、脱力感を感じました(汗)。
秀吉と茶々
今回、ここが一番興味深かったです。
3年前の『江』とは違い、今回の茶々はかなり気がつよいですね。
秀吉に斬りかかるとは、度胸がありますね。
宮沢りえの茶々よりも、説得力がありました(笑)。
村重同様、魅力が溢れる人物になりそうです。
重要な役割のようですから、今後どう活躍するか期待です。
それでは~
茶々の今後の動向には私も注目しています。