2013年「回顧と展望」日本・古代

山中鹿次「仁徳条と履中条の断層と天皇の実在性」『信濃』65-5

古市晃「倭王権の支配構造とその展開」『日本史研究』606

川口勝康「国家形成の指標と日本古代史における画期」『メトロポリタン史学』8

遠藤みどり「女帝即位の歴史的意義」『ヒストリア』241

若井敏明「白雉四年の政変について」『佛教大学歴史学部論集』3

佐藤長門「天孫降臨神話の改作と八世紀前後の王位継承」『国学院雑誌』114-1

長谷部寿彦「律令国家成立期の天皇観と儀制令天子条天子号規定」『史学研究』281

松本政春「養老三年の軍団減定・停止とその復旧」『日本歴史』781

三宅和朗「古墳と植樹」『史学』81-4

三舟隆之「浦島説話」『日本歴史』776

澤田裕子「平安貴族社会における養子の展開」『古代文化』65-3

河上麻由子「唐代における僧侶と対外交渉」『日本史研究』615

廣瀬憲雄「皇極紀百済関係記事の再検討」『日本歴史』786


 日本・古代の項では、昨年このブログで取り上げた遠山美都男『敗者の日本史1 大化改新と蘇我氏』(関連記事)と瀧浪貞子『敗者の日本史2 奈良朝の政変と道鏡』(関連記事)も言及されていました(評者は西本昌弘氏)。前者は

大化改新は蘇我氏が健在のままでも実現可能であったとする。過激な蘇我氏顕彰論であるが、論拠に乏しい。

後者は

称徳天皇は道鏡を皇位につける気はなく、それを断念させるために宇佐八幡宮の神託を利用したと説くが、称徳がそのような策をとるであろうか。

と厳しい評価になっています。


 また、村井康彦『出雲と大和 古代国家の原像をたずねて』(岩波書店)が以下のように評されており(評者は同じく西本昌弘氏)、注目されます。同書はわりと売れているようで、書店でも目立つ場所に置かれていました。私も一瞬読んでみようと思ったのですが、これは地雷だ、と私の直観が警告するのでやめておきました。以下の評価が妥当なのか、同書を読んでいないので判断はできませんが、ここまでの評価となると、かえって気になりますので、いつかは読んでみようと思います。以下の評価が妥当だとすると、「晩節を汚した」ということになるのでしょうか。

村井康彦『出雲と大和』(岩波書店)は出雲勢力が立てた邪馬台国を九州から来た神武勢力が滅ぼして大和朝廷が成立したと説くが、神話・伝説の自由すぎる解釈には言葉を失う。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック