『太陽にほえろ!』372話~376話

372話「最後の審判」6
 レフリーの子供が誘拐され、世界タイトル戦で挑戦者を勝たせろ、と要求してきます。一係は、たんなる八百長ではなく、レフリーに恨みを持つ者の犯行ではないかと推測し、判定に恨みをもった人間を探りますが、それらしい人物が見つかりません。そこで、レフリーが学生時代にボクサーをしていた頃に、対戦で重傷を負った男に着目し、その息子が犯人であることを突き止めます。展開も話の内容も悪くはないのですが、もっと犯人の人物像が描かれればよかったのではないか、と思います。


373話「疑わしきは」7
 後に度々登場することになる吉野巡査が、はじめて明確なキャラクターとして位置づけられた話となります。吉野巡査はメインゲストといった感じで、主演が新人刑事のスニーカーということもあって、若手刑事の熱意・暴走が描かれた作品となっています。今回は青春ドラマ的性格が強くなっており、ロッキーはややキャラが弱いだけに、スニーカーに青春ドラマの主人公を担わせよう、との意図もあったのでしょう。ただ、肝心の山下真司氏の演技がいまいちなので、どうも盛り上がりに欠けるところがあるのは否めません。話自体はなかなか面白かっただけに、残念です。


374話「直感」8
 ゴリさんとともに酒を飲みに行った殿下が、店から出たところ、銃撃されて重傷を負ってしまいます。狙われたのは殿下ではなく自分だと直感したゴリさんには、思い当たる容疑者がいました。その容疑者はゴリさんを深く恨んでおり、動機の面では問題がないのですが、証拠がありません。

 早い段階で容疑者が特定され、ゴリさんとその容疑者との対決が主軸となって話が展開していきますが、その容疑者が拘留中に、同じ銃でゴリさんが狙われます。窮地に陥ったゴリさんですが、それでもその容疑者を追い続け、長さん・ロッキー・スニーカー・山さんもゴリさんを助けて捜査に加わります。ゴリさんへの仲間への想い、一係の結束が描かれ、『太陽にほえろ!』における王道的な構成の話と言えます。


375話「護送」7
 人を信じようとする殿下のキャラを活かした話となっています。犯人を護送することになった殿下は、あくまでも犯人を信じようとし、殿下と犯人の間には信頼関係が生まれかけますが、偶発的な出来事により、犯人は逆上して殿下を襲撃し、逃亡してしまいます。犯人役の平泉征(現在の表記は平泉成)氏と、殿下と対立する刑事を演じた石田太郎氏の好演により、作品の質が高められています。


376話「右往左往」6
 スニーカー主演の推理ものですが、スニーカーの演技がいまいちということもあって、作品の出来はもうひとつといった感じです。ただ、話の流れ自体は、謎解きが面白かったこともあり、なかなかよく出来ていると思います。この頃から視聴率が30%を超えることがほとんどなくなりますが、確かに、この前後以降、全般的に作品の完成度が落ちてきた感はあります。もちろん、これはスニーカー1人の責任ではありませんが、スニーカーの演技が作品の質を落としていることは否定できないように思います。この時期のもう1人の若手刑事であるロッキーがキャラの薄い人物だったことも不幸だった、と言えるかもしれません。

この記事へのコメント

いち
2014年08月13日 13:58
こんにちは。ボンへの想いがそろそろ薄らいでいく頃ですが、まだ許されるだろうと思い、ボンについてコメントしたいと思います。
リアルタイムにおける私のこの頃の「太陽・・・」の視聴は断片的でしたが、 「太陽・・・」 全話終了後、放映リストを入手しました。そしてスニーカー登場以前に山下真司ゲスト出演の回があったことを知り、てっきりその回が、二人の出合い~田口刑事がチンピラに絡まれた五代潤を助け、スニーカーを買い与える場面~だと思い、再放送を何年もの間楽しみにしていました。しかしそれは期待しすぎであって、いくら 「太陽・・・」 でもそこだけに手間ひまかけてられるわけないと、よくよく考えればわかることでした。
また、ロッキー、スニーカーコンビの 「太陽・・・」 は全盛期から比較すると下降線に差しかかる時期にあたりますが、それは仕方がないだろうことなので、温かい気持ちで見守ろうと思えるものでもあります。
2014年08月13日 14:22
長期ドラマでのテスト出演ですから、そこまで辻褄を合せるのは難しい話ですよね。

そう考えると、テキサスのテスト出演回は、後の「刑事狂乱」で上手く活かしているなあ、と思います。まあ、鮫島シリーズで辻褄を合せやすかったのかもしれませんが。

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