関雄二「最初のアメリカ人の移動ルート」『人類の移動誌』第4章第1節

 印東道子編『人類の移動誌』初版第2刷(関連記事)所収の論文です。アメリカ大陸への人類最初の移住はたいへん関心の高い問題であり、長年にわたって激論が展開されてきました。20世紀後半に一時主流となったのが、クローヴィス文化の担い手こそアメリカ大陸に移住した最初の人類だとするクローヴィス最古説で、たいへん大きな影響力を有しました。本論文でも、まずクローヴィス最古説とその根拠が取り上げられています。

 しかし、クローヴィス最古説の考古学的・形質人類学的・言語学的根拠は現在では否定されており、本論文は、クローヴィス最古説が否定されるにいたった経緯と、ではその代わりにどのような見解が提示されているのか、ということを紹介しています。アメリカ大陸への人類最初の移住経路として現在有力視されているのは、クローヴィス文化以前に、人類は北アメリカ大陸北西岸を経由してアメリカ大陸へ進出したのではないか、と想定する見解です。この問題に関しては、最近このブログで取り上げました(関連記事)。


参考文献:
関雄二(2014)「最初のアメリカ人の移動ルート」印東道子編『人類の移動誌』初版第2刷(臨川書店)第4章「アメリカ大陸・オセアニアへ」第1節P206-218

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