大河ドラマ『軍師官兵衛』第29回「天下の秘策」

 まだ日付は変わっていないのですが、7月21日分の記事として掲載しておきます。官兵衛は安国寺恵瓊に光秀の謀反と信長の死を打ち明けます。秀吉を高く評価し、かつて秀吉と毛利家が組んで天下を取ろう、と恵瓊が持ちかけたことをよく覚えていた官兵衛は、恵瓊の野心に賭けたわけです。恵瓊は官兵衛の意図を察し、毛利家首脳部にはこのことを伏せたまま、和睦交渉を進めることにします。官兵衛は秀長・小六・三成に信長の死を伝え、秀長・小六・三成は居城の長浜を案じるなど動揺しますが、秀吉が仇討を強く訴え、羽柴家は結束します。

 恵瓊は清水宗治を説得し、切腹させることにします。恵瓊は小早川隆景に本能寺の変のことを伏せたまま和睦交渉を進めますが、秀吉が以前よりも毛利家に有利な状況で和睦を申し込んできたことを不審に思います。隆景は、当主で甥の輝元や兄の元春に相談しなければならない、と言って返答を渋ります。そこへ官兵衛が現れ、宗春を切腹させることになおも難色を示す隆景を、天下のためと言って説得し、隆景も官兵衛を信ずることにします。

 官兵衛は嫡子の長政と家臣団を前に本能寺の変を伝え、至急都に戻って光秀を討ち、秀吉を天下人にしよう、と訴えます。6月4日、宗治は羽柴・毛利両軍の首脳が見守るなか、船上にて切腹します。宗治が切腹した直後、信長を討ち果たした、と伝える書状が光秀から隆景に届きます。同じころ、姫路城にも本能寺の変を伝える書状が届きます。職隆は城の備えを固めるよう命じ、官兵衛に本能寺の変を伝えるよう、又兵衛に命じます。又兵衛はその道中で、官兵衛の指示を伝えようと姫路に向かっていた長政と再会します。

 6月5日、安土城に入った光秀は、家臣団に信長の収集した名物を分け与え、いずれ贅を尽くした安土城を燃やすつもりだ、と打ち明けます。信長のやり方を否定することで、自身の謀反の正当性を訴えていこうとしているのでしょう。安土城の光秀は、長浜城・佐和山城を制圧したという報告を受けて、得意気です。ところが、縁戚関係にある細川藤孝からの書状には、藤孝が出家して隠居するとありました。藤孝が光秀に与しないと悟った光秀と家臣たちは、不安と動揺を隠せません。

 官兵衛は人質を受け取るために毛利家との交渉に再び臨み、黒田軍が殿を務める、と秀吉に申し出ます。隆景から本能寺の変を伏せていたことを責められた官兵衛は、戦のさなかに不利なことを伝えないのは当然だと反論し、秀吉が最も天下に近いことを訴え、追撃して遺恨を残すのか、それとも天下のために秀吉に恩を売るのか、と隆景を説得します。隆景は元就の遺訓を持ち出し、秀吉に賭けることを明言します。官兵衛は隆景に、この恩は忘れない、と伝えます。隆景は、堤を切って高松城の周囲を水浸しにして、毛利軍が追撃できないようにしておけ、と官兵衛に言います。

 こうして秀吉軍は都へと急行します。その頃、元春にも本能寺の変が伝えられました。元春は隆景に秀吉軍を追撃するよう言いますが、和睦に違反することも、謀反人の光秀に与することも、宗治の死を無駄にすることもできない、と隆景は元春を説得します。結局、元春も追撃を断念し、敵を光秀に絞ることができたので、黒田軍の士気は高まります。すでに官兵衛の指示により備中から都への山陽道には松明・兵糧の準備が進められつつあるなか、秀吉の「中国大返し」が始まりました。

 今後の描写がどうなるのか分かりませんが、官兵衛の活躍の第一の山場は本能寺の変の前後で、第二の山場が関ヶ原の戦いの前後なのかな、と思います。前回・今回と、官兵衛が主人公らしい大活躍で、ドラマとしては盛り上がってきたのではないかな、と思います。官兵衛の賭けは、恵瓊や隆景の思考・性格を読んだうえでのものとなっており、ドラマとしてはこれでよいと思いますし、なかなか面白く迫力のある交渉になっていました。歴史ドラマとして不満を抱く視聴者も少なくないのかもしれませんが、私はなかなか楽しんで視聴しています。

この記事へのコメント

ひろし
2014年07月22日 14:47
世間では人気が高まったそうです。
視聴率が19.4%と久々の20%付近でした。
これまでの最高は初回の18・9%でした。
関西地区では、たびたび20%を超えたそうです。

岡田さんの演技が上手かったです。
黒い官兵衛は、かっこよかったです。
清水宗治さんの船上切腹は今回の見せ場でした。
評価は変わりませんが、とりあえず今後の展開に興味が沸きました。
次回の「中国大返し」は興味深いです。期待してます。
2014年07月22日 21:20
視聴率が上昇傾向にあるのはよいと思います。

視聴率が低迷し続けると、NHK内部でも大河ドラマ廃止論が強くなってきそうですから。

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