大河ドラマ『軍師官兵衛』第28回「本能寺の変」
まだ日付は変わっていないのですが、7月14日分の記事として掲載しておきます。光秀が信長に謀反を起こし、信長は自害に追い込まれ、その妻のお濃は討たれてしまいます。本能寺の変はあまりにも有名なので、ほとんどの視聴者は大まかな内容を知っていることでしょう。それだけに、どのような脚本・演出になるのか、製作者側の力量が問われるのだと思います。
その意味で、今回の本能寺の変には大いに注目していたのですが、とくに目新しさはなかったものの、無難にまとめられていたように思います。信長の戦闘場面はややくどかった感もありますが、これで退場となるのですから、見せ場が多めでも仕方ないところかな、とは思います。正直なところ、信長の配役は失敗だったと考えているのですが、本能寺の変に関しては、懸念していたほどには悪くはありませんでした。
本能寺の変が起きた頃、秀吉の率いる織田軍は高松城を包囲しており、官兵衛はその陣中にいました。付近の農家で思いがけず旧主の政職と再会した官兵衛は、病床で謝罪する政職を許します。政職は嫡男の氏職(斎)を官兵衛に託して息を引き取ります。政職を許してその嫡男の氏職を引き取るという官兵衛に、お人よしだなあ、と秀吉は言います。この場面は、本能寺の変を知った時の官兵衛と秀吉のやり取りを印象づける役割を担っているのでしょう。
長谷川宗仁から本能寺の変を報せる使者が秀吉の陣へと到着しますが、宗仁からの書状を先ず確認したのは官兵衛でした。宗仁は使者に、秀吉と官兵衛以外には本能寺の変のことを報せるな、と命じていました。官兵衛は大変な衝撃を受けつつ、使者に他言無用と厳命します。今後どうすべきか、官兵衛は独りで熟考しようとしますが、あまりの衝撃に動揺を抑えられません。しかし、すぐに冷静さを取り戻した官兵衛は、毛利の陣へ本能寺の変を報せる使者を捕えるよう、善助に手配を命じます。
官兵衛は深夜に秀吉を訪ね、宗仁からの書状を渡します。それを読んだ秀吉は大きな衝撃を受け、取り乱します。取り乱す秀吉に、官兵衛は正気を取り戻すよう励ますとともに、御運が開けましたな、と言います。秀吉はその発言に茫然とするとともに、衝撃を受けたようです。本能寺の変を毛利軍に知られる前に都に取って返し、謀反人光秀を討つべきだ、と官兵衛は秀吉に進言します。正気を取り戻した秀吉に、自分にすべて任せてください、と官兵衛は言います。
官兵衛は深夜に安国寺恵瓊を呼び、緊急に毛利軍との和睦を結びたい、と切り出します。しかも、以前合意しかけた毛利家からの五ヶ国の割譲ではなく、毛利家の八ヶ国安堵という、以前よりもはるかに毛利家に有利な条件です。さすがに安国寺恵瓊はこの条件を訝ります。ここで官兵衛は、秀吉が天下に打って出る好機が訪れたと言い、毛利軍に本能寺の変を知られてはいけない、と善助には命じていたにも関わらず、安国寺恵瓊に本能寺の変を伝えます。
今回はこれで終了となり、次回は官兵衛と安国寺恵瓊や小早川隆景との交渉が中心に描かれることになりそうです。今回は、史実か否かは別として、本能寺の変の直後に天下取りの好機が到来した、と官兵衛が秀吉に進言する有名な逸話が盛り込まれてきました。公開されている情報によると、この一言は、秀吉と官兵衛との間に溝が生じ、深まっていく起点になるそうです。秀吉が官兵衛を警戒する契機になった、ということなのでしょう。
今回も分かりやすい話となっており、全体的には、奇を衒ったものではなく地味な物語だと言えるかもしれませんが、堅実な作りになっていると思います。官兵衛が安国寺恵瓊に本能寺の変を伝えたことも、安国寺恵瓊が官兵衛に、秀吉と毛利家が結んで天下をとろう、と以前提案したことが伏線になっており、なかなか分かりやすかったと思います。この官兵衛の大勝負は、幽閉に続く第二の山場となりそうです。第三の山場は、関ヶ原の戦い前後でしょうか。
現代日本社会ではこの時代への関心が(たとえば、奈良時代や平安時代や室町時代と比較して)高いので、色々と不満を持つ視聴者も少なくないのかもしれませんが、この作品は歴史ドラマとしてじゅうぶん許容範囲内だと思いますし、分かりやすさを重視した作風も悪いとは思えません。私はこの作品をなかなか面白いと思って視聴しているのですが、「声の大きな」大河ドラマ視聴者の間では、昔の「名作」と比較されて酷評されることが多いのでしょうか。
その意味で、今回の本能寺の変には大いに注目していたのですが、とくに目新しさはなかったものの、無難にまとめられていたように思います。信長の戦闘場面はややくどかった感もありますが、これで退場となるのですから、見せ場が多めでも仕方ないところかな、とは思います。正直なところ、信長の配役は失敗だったと考えているのですが、本能寺の変に関しては、懸念していたほどには悪くはありませんでした。
本能寺の変が起きた頃、秀吉の率いる織田軍は高松城を包囲しており、官兵衛はその陣中にいました。付近の農家で思いがけず旧主の政職と再会した官兵衛は、病床で謝罪する政職を許します。政職は嫡男の氏職(斎)を官兵衛に託して息を引き取ります。政職を許してその嫡男の氏職を引き取るという官兵衛に、お人よしだなあ、と秀吉は言います。この場面は、本能寺の変を知った時の官兵衛と秀吉のやり取りを印象づける役割を担っているのでしょう。
長谷川宗仁から本能寺の変を報せる使者が秀吉の陣へと到着しますが、宗仁からの書状を先ず確認したのは官兵衛でした。宗仁は使者に、秀吉と官兵衛以外には本能寺の変のことを報せるな、と命じていました。官兵衛は大変な衝撃を受けつつ、使者に他言無用と厳命します。今後どうすべきか、官兵衛は独りで熟考しようとしますが、あまりの衝撃に動揺を抑えられません。しかし、すぐに冷静さを取り戻した官兵衛は、毛利の陣へ本能寺の変を報せる使者を捕えるよう、善助に手配を命じます。
官兵衛は深夜に秀吉を訪ね、宗仁からの書状を渡します。それを読んだ秀吉は大きな衝撃を受け、取り乱します。取り乱す秀吉に、官兵衛は正気を取り戻すよう励ますとともに、御運が開けましたな、と言います。秀吉はその発言に茫然とするとともに、衝撃を受けたようです。本能寺の変を毛利軍に知られる前に都に取って返し、謀反人光秀を討つべきだ、と官兵衛は秀吉に進言します。正気を取り戻した秀吉に、自分にすべて任せてください、と官兵衛は言います。
官兵衛は深夜に安国寺恵瓊を呼び、緊急に毛利軍との和睦を結びたい、と切り出します。しかも、以前合意しかけた毛利家からの五ヶ国の割譲ではなく、毛利家の八ヶ国安堵という、以前よりもはるかに毛利家に有利な条件です。さすがに安国寺恵瓊はこの条件を訝ります。ここで官兵衛は、秀吉が天下に打って出る好機が訪れたと言い、毛利軍に本能寺の変を知られてはいけない、と善助には命じていたにも関わらず、安国寺恵瓊に本能寺の変を伝えます。
今回はこれで終了となり、次回は官兵衛と安国寺恵瓊や小早川隆景との交渉が中心に描かれることになりそうです。今回は、史実か否かは別として、本能寺の変の直後に天下取りの好機が到来した、と官兵衛が秀吉に進言する有名な逸話が盛り込まれてきました。公開されている情報によると、この一言は、秀吉と官兵衛との間に溝が生じ、深まっていく起点になるそうです。秀吉が官兵衛を警戒する契機になった、ということなのでしょう。
今回も分かりやすい話となっており、全体的には、奇を衒ったものではなく地味な物語だと言えるかもしれませんが、堅実な作りになっていると思います。官兵衛が安国寺恵瓊に本能寺の変を伝えたことも、安国寺恵瓊が官兵衛に、秀吉と毛利家が結んで天下をとろう、と以前提案したことが伏線になっており、なかなか分かりやすかったと思います。この官兵衛の大勝負は、幽閉に続く第二の山場となりそうです。第三の山場は、関ヶ原の戦い前後でしょうか。
現代日本社会ではこの時代への関心が(たとえば、奈良時代や平安時代や室町時代と比較して)高いので、色々と不満を持つ視聴者も少なくないのかもしれませんが、この作品は歴史ドラマとしてじゅうぶん許容範囲内だと思いますし、分かりやすさを重視した作風も悪いとは思えません。私はこの作品をなかなか面白いと思って視聴しているのですが、「声の大きな」大河ドラマ視聴者の間では、昔の「名作」と比較されて酷評されることが多いのでしょうか。
この記事へのコメント
サブタイも、内容どおりそのまんまだったのが、驚きです。
3年前の『江~姫たちの戦国~』の生霊や5年前の『天地人』の爆発などの、ネタ的な要素が無かったのが救いでした。
近年の本能寺では、一番マシな出来で、個人的の評価が少し上がりました。
まあ、相変わらず内容がベタでイマイチなのは変わりませんが。
首からの流血がリアルでちょっとシュールでしたが、迫力がありました。
視聴率(17.5%)も上がりましたし、とりあえず今後の展開に期待が持てました。
秀吉の天下取り、如水改名など、まだ見所があるそうですし。
さて、江口さんの信長について語ります。
去年、配役が発表した時点で、ミスキャストと語りましたが、本当に的中しました。
これは、配役以前の問題に、江口さんを大河(寧ろ時代劇)に出演するのが失敗だと思います。
個人的な問題ですが、江口洋介さんは、余り好きな役者ではないので、彼の出演される作品は殆ど観ません。
今年の大河の前に出演された作品は2作、『春日局』(1989年)と『新選組!』(2004年)で、前者は未見でしたが、後者が一番記憶に残ります。
彼の演技を見ると、どうも時代劇に向いてないように見えます。
だから、今回の信長は、個人的に「失敗」「ミスキャスト」でした。
天下取りを目指した武将には見えませんでした。
『江~姫たちの戦国~』の豊川悦司の信長ですら、それ並に魅力・カリスマ性を感じたのに、今回は殆ど「人間性」「戦国臭」が感じられませんでした。
今まで観てきた信長の中で、もっとも魅力が無かったと思います。
とりあえず江口さん、お疲れ様でした。
檀ふみ、長塚京三、奥田瑛二、原田泰造、北大路欣也など、かなりのベテラン・大物が揃いました。
一番の驚きは、劇団ひとりが初代内閣総理大臣となる伊藤博文を演るそうです。
これは、とても微妙ですね。
重要な役なのに、今年の信長や光秀のように、ミスキャストのような気がします。
なんか余りパッとせず、無理があるような気がします。
(記事のコメント欄にも、批判が書かれてますし)
NHKは来年の大河にやる気がないからか?それとも、それ並に理由があるからか?
複雑な気持ちです。不安があります。
それでは~
『花燃ゆ』の伊藤博文役は微妙ですね。現代劇1作品でしか知りませんが、その時は微妙でした。まあNHKとしては、来年は穴埋めで再来年で勝負ということなのかもしれませんが・・・。北大路欣也氏は、制作統括との関係から再来年に出演かな、と予想していたので、『花燃ゆ』への出演は意外でした。