ボノボと人間の社会性の共通点

 ボノボ(Pan paniscus)と人間の社会性の共通点に関する研究が報道されました。この研究では、コンゴ民主共和国キンシャサ市郊外のロラ・ヤ・ボノボ保護区で保護されたボノボの観察により、人間に特有と思われてきた社会的な行動がボノボにも見られることが指摘されています。観察対象となったボノボは、中央アフリカで違法密猟者に母親を殺された孤児たちとのことです。ボノボはとくに中国における違法取引により個体数が年々減少しており、絶滅危惧種に指定されているそうです。

 この研究では、欠伸の伝染や見知らぬ個体と公平に食べ物を分け合うことなどがボノボでも確認され、ボノボも人間と同じく他の個体と共感できることが分かった、と指摘されています。この研究では、人間の利他的な性質の形成には文化や教育が重要な役割を果たしていることは確かであるものの、人間のもっとも究極的な形での寛容さや利他的な行動は遺伝子によって引き起こされている部分もある、と主張されています。なお、この報道では欠伸の伝染は人間以外ではボノボにしか見られないとされていますが、チンパンジー(Pan troglodytes)にも欠伸の伝染が認められる、との見解もあるようです(関連記事)。

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