『週刊新発見!日本の歴史』第44号「現代4 敗戦・占領の「断絶と連続」」

 この第44号はポツダム宣言の受諾から警察予備隊の設置までの占領期間を対象としています。この第44号では、(戦時中も含む)戦前と戦後との「断絶と連続」という観点が中心にすえられています。1990年代以降に顕著となった総力戦体制論においては、総力戦の中で社会の近代化・現代化や人々の意識変化が進行するのだとされ、日本社会における戦前と戦後の連続性が指摘されました。一方で、戦前と戦後の「断絶と連続」については、各領域により様相が異なることや、社会関係の次元で大きな断絶があったのは高度成長期であることを軽視してはならない、とも指摘されています。

 「戦後」意識がどのように形成されていったのか、という問題を取り上げていることも、この第44号の特徴と言えるでしょう。現代日本社会では、8月15日が「終戦記念日」とされ、多くの日本人にとって特別な意味を持つ日となっているでしょう。しかし、占領期の新聞報道では、9月2日が事実上「終戦記念日」として位置づけられていました。これが変わっていくのは、1950年代半ば以降のことのようです。政府主催の全国戦没者追悼式は、1952年5月2日の後、1963年まで開催されず、1963年の閣議で8月15日開催と決定され、それ以降毎年開催されるようになりました。現代日本社会における占領期に関する歴史認識は、占領終了後の新たな記憶が幾重にも重なり、同時に新たな意味づけが付与されながら形成されているので、占領期の民衆意識の「古層」のようなものを探し当てることは大変難しい、と指摘されています。

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