ネアンデルタール人集団内の変異
ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と分類されている集団内の変異の見直しについて、2014年度アメリカ自然人類学会総会(関連記事)で報告されました(Minetz., 2014)。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P186)。この報告は、じゅうらいの後部頭蓋比較分析では全ネアンデルタール人が単一集団にまとめられる傾向にあったとして、身体比の分析を通じてその見直しを提言しています。そのためこの報告は、ヨーロッパのネアンデルタール人と南西アジアのネアンデルタール人を、異なる時間的・地理的・遺伝的歴史を有する集団として区分してその内部変異を検証するとともに、現生人類(ホモ=サピエンス)集団との比較も試みています。
その結果、ヨーロッパのネアンデルタール人は一貫して現生人類の範囲に収まらなかったものの、南西アジアのネアンデルタール人はしばしば現生人類の範囲に収まりました。そのためこの報告は、ネアンデルタール人を均質な集団とみなすべきではない、と主張しています。以前より、南西アジアのネアンデルタール人や東ヨーロッパのネアンデルタール人は西ヨーロッパのネアンデルタール人ほど特殊化しておらず、現生人類と似たところがある、とも指摘されていました。この報告では、ネアンデルタール人と分類されてきた集団内の変異がヨーロッパと南西アジアという枠組みで指摘されており、以前よりの指摘に妥当性もあったことが確認されました。今後の分析の進展により、ヨーロッパ内(東と西など)や西南アジア内(イランやイラクとレヴァントなど)のネアンデルタール人の変異がさらに解明されていくことが期待されます。
参考文献:
Minetz JA.(2014): Exploring the relationship of Neanderthals and modern humans at various population levels through an analysis of body proportion indices. The 83th Annual Meeting of the AAPA.
その結果、ヨーロッパのネアンデルタール人は一貫して現生人類の範囲に収まらなかったものの、南西アジアのネアンデルタール人はしばしば現生人類の範囲に収まりました。そのためこの報告は、ネアンデルタール人を均質な集団とみなすべきではない、と主張しています。以前より、南西アジアのネアンデルタール人や東ヨーロッパのネアンデルタール人は西ヨーロッパのネアンデルタール人ほど特殊化しておらず、現生人類と似たところがある、とも指摘されていました。この報告では、ネアンデルタール人と分類されてきた集団内の変異がヨーロッパと南西アジアという枠組みで指摘されており、以前よりの指摘に妥当性もあったことが確認されました。今後の分析の進展により、ヨーロッパ内(東と西など)や西南アジア内(イランやイラクとレヴァントなど)のネアンデルタール人の変異がさらに解明されていくことが期待されます。
参考文献:
Minetz JA.(2014): Exploring the relationship of Neanderthals and modern humans at various population levels through an analysis of body proportion indices. The 83th Annual Meeting of the AAPA.
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